賃貸の契約を交わす前に、申込金を入れることを不動産屋から提案される場合があります。
申込金を受けている人が優先されるという説明を受けてお金を渡した後にトラブルになるケースが増えています。
どんなトラブルが起こりやすいのか、トラブルを避けるためのポイントについてお話しましょう。
■賃貸の申込金でトラブルになったケース
『その1:契約前にキャンセルを申し出たのに申込金を返してくれない』
気になる物件があり契約するつもりで入居審査を受けることになりました。
審査にあたって、申込金を入れてもらえないかと仲介業者に言われ、家賃1ヶ月分を預けました。
けれども審査中に気になる部分が出てきて、断ることにしました。
キャンセルするのだから、当然申込金は返してもらえると思っていたのに、そちらの都合ですから、お返しできませんと言われてしまいました。
『その2:申込金が仲介手数料に組み入れられずムダな出費に感じた』
申込みしたい物件が決まり、証拠金として、家賃1ヶ月分を入れておくことになりました。
契約の場で、申込金は、前家賃か、仲介手数料の一部にあてられるワケではないと知りました。
申込金の分だけ余計に支払った感じになり、ムダな出費をしたと後悔しています。
■申込金は預かり金であり、返還されるべきもの
入居希望者が多くなる時期、“とりあえず仮押さえしたい”という人が複数の物件を押さえてしまうと、確実に入居するか曖昧なまま他の入居希望者を断る場面が出てきて、不動産屋に取っては迷惑な話です。
「申込みの意思がある」ことを証明する証拠金として“申込金”を預かり、ムダな競合を避ける意味合いがあります。
ただ、重要事項を説明し、オーナーと入居希望者が納得の上、賃貸契約を交わしたところで、初めて仲介手数料の支払い義務が発生します。
ですから、申込金はあくまでも預かり金として扱われ、一定の期間のあと返さなければいけないお金だと法律で決まっています。
■トラブルを避けるための方法
申込金を返す、返さないでトラブルになることが多いので、東京都では、申込金そのものを受けるべきではないとしています。
申込金を預けるときには、どんな意味合いのお金なのか、返還の期日はいつなのかを確認し、預かり証を発行してもらいましょう。
トラブルを避けるには、申込金は返還してもらい、改めて契約時に支払う金額の内容を確認すると良いでしょう。
申込金を入れたのに返還してもらえない場合には、宅建法違反になります。
不動産会社の加盟する業界団体、東京なら都市整備局相談窓口などに相談しましょう。
*東京都賃貸ホットライン(電話相談) 電話:03-5320-4958