敷金と言えば、礼金とともに賃貸契約をするときにはほぼ必ず見かける契約金です。
しかし、実際に契約するまでその意味を知らない方も多く、敷金・礼金なしを謳っている物件が必ずしも優良物件とは限らないのも事実です。
そして、敷金については金銭トラブルが絶えない実情もあり、賃貸物件が飽和状態にある今だからこそ、敷金について理解しておく必要があります。
ここでは、主に敷金の仕組みとその相場と敷引きという単語について言及していきます。
■敷金と敷引き
敷金は、もしも家賃が払えなかったときの担保金や部屋を汚したり、傷つけたりした際の修理費用などに充てられるものです。
保証金と同じく退去時には戻ってくる場合がありますが、入居時に支払った金額がそのまま戻ってくるケースはほとんどございません。
最近は、特約として敷金を全て返さないという項目のある契約もある為、契約書を隅々までしっかりと確認してから契約する必要があります。
ちなみに、自分に不利益のある契約後のトラブルに対しては、契約した自分にも過失があるということで、立場的には弱くなる可能性もあります。
もしも、どうしても納得できない場合は、法律の専門家や消費者センターに相談してください。
また、最近では礼金・敷金なしの物件もありますがその場合は契約時に契約書の確認を隅々までするように気を付けなければなりません。
最もトラブルになりやすいケースであり、原状回復義務のない契約においても安易な気持ちでは契約しない方がよいでしょう。
■敷金の相場
敷金の全国相場ですが、北海道から関東にかけて敷金は1~2カ月程度、東海地域は2カ月程、関西から九州にかけては3カ月~4カ月程となっています。
つまり、西日本の方が敷金・礼金の相場は高く設定されており、この金額だけでみれば東日本は良心的と見えます。
しかし、必ずしも敷金・礼金の額が安ければ安いほどいいわけではなく、安ければ安いほど退去時の負担が大きくなる場合もあるので契約時の確認と経年劣化以外の対応についての特約は見落とさないようにしましょう。
■敷引きとは
最後に、敷引きについて解説していきます。
敷引きとは、入居時に預けた敷金から退去時に無条件でその金額を差し引くというものです。
個人で住居として借りる場合、敷引き出来るケースでは家賃の2~3、5か月までというパターンが多くなっています。
敷引きは、関西から西の方で行われている特約であり、普通は退去時のハウスクリーニング代などに使われますが、経年劣化などの借主に責任のない過失についても割り当てられる場合もあります。
また、敷引きされた金額は戻ってこず、経年劣化については借主の負担はないという仕組みを知っておかなければ、部屋の修繕費全てを請求されるケースも多くなっています。
そして、関西のみならず関東のほうにもこの仕組みを採用している物件は存在しますので、契約内容と特約の確認は行わなければマイナス要因の方が大きくなってしまいますので、ご注意ください。
■東京都内は良心的?
敷金の相場は、東日本の方が安く契約時においては良心的な金額です。
それでもトラブルになるケースもありますが、契約時の特約、契約内容に対して契約書に捺印とサインした段階でほぼ自己責任とされる場合が多いのも事実です。
賃貸契約を結ぶ際は、きちんと内容を確認し、納得したうえでサインしましょう。