「不動産の募集図面に書いてある徒歩○分って信用できない」と感じている方は多いのではないでしょうか。
駅から実際に歩いてみたら表記の徒歩分数よりも時間がかかったという経験をした人も多くいるかと思います。
そこで、今回はこのモヤモヤを解消すべく、不動産広告の徒歩表示がどのような計算方法で決めらているのかをご説明いたします。
■不動産広告の徒歩表示には明確な規定がある
物件情報を表示する際の共通ルールである“不動産の表示に関する公正競争規約”によって、計算方法が定められています。
そこには、道路距離80m=1分と決められており、1分未満の端数は切り上げて計算すると定められています。
徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは1分として計算すること。
”不動産の表示に関する公正競争規約第15条第10号”より引用
つまり、不動産屋のスタッフが実際に歩いて計測しているわけではなく、地図上で道路距離を調べて徒歩表示を計算しています。
この80m=1分というのが人によって歩くスピードが違うため、徒歩表示と実際の分数が異なる原因となります。
また、信号や踏切などの待ち時間はカウントしていないことや、急な坂道や階段があっても計算方法は変わらないことも、徒歩表示と実際の分数が異なる大きな要因となっています。
■あくまでも目安時間と捉える
不動産広告の徒歩表示はあくまで参考程度に考え、気に入った物件が見つかった場合は、実際に駅から自分の足で歩いてみることをオススメします。
物件を見学に行く際には、車で案内される場合が多かったり、何件か見る場合ですと、物件から物件へ移動するため、駅からの距離が分からなくなってしまいがちです。
そのため、駅から自分の足で歩いてみると、実際の徒歩分数も分かりますし、信号や上り坂などの状況もつかめ、もしかしたら意外な近道も発見できるかもしれません。
■どうして80m=1分に?
ここまでで、徒歩表示がどのような計算方法で決められているのか、またそれを踏まえた上での考え方はご理解いただけたかと思います。
しかし、80m=1分という基準はどのようにして決められたのでしょうか。(※ここからは2012年6月1日に放送されたテレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!』の内容を基に記載させて頂きました)
『不動産公取協の30年誌』によると、「原案では徒歩○分と表示するには1分間100mで算出することになっていたが、女性でも歩ける基準にするべきということで、実際に歩いてみて80mに変更した」と書かれていた。
そこで実際に歩いて計測した人を取材した結果、公正取引委員会に勤務していた当時20代の女性が、職場の廊下と自宅の庭を歩いて計測したとのこと。
「せっかちな私としてはずいぶんゆっくり歩いて測ったと記憶している。当時はハイヒール通勤が多かった。いつも私はペタンコの靴だったが、持っている靴の中で1番ヒールの高い靴で、できるだけゆっくり歩いて測りました。そうしたら1分で80m以上歩けたので80mあれば十分だと思いました」とのこと。
そして、この女性以外には誰も歩いておらず、この女性一人の感覚で今の基準が決まったらしいです。