最近では、日本でも中古住宅の取引が盛んになりつつあり、誰でも売主になる可能性があります。
中古住宅の取引は売却したら完了ではなく、引き渡し後に不具合が見つかった場合、責任を負う恐れがあります。
そんな売主の負担を軽減してくれるのが既存住宅売買瑕疵保険です。
この記事では、中古住宅の売却における既存住宅売買瑕疵保険について解説しています。
ぜひ参考にしていただき、トラブルのない中古住宅の売却をおこないましょう。
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弊社へのお問い合わせはこちら売却時に必要?既存住宅売買瑕疵保険とは?
そもそも中古住宅だけでなく住宅の取引では、売主は買主に対して契約不適合責任というものを負います。
契約不適合責任を請求されると、売却後にも不具合に対する補償をする必要があり、売主に負担が発生します。
契約不適合責任とは?
契約不適合責任とは、売買契約書などに記載のある家の品質などを保っていない際に売主に発生する責任です。
消費者である買主を守るための法律であり、売主にとっては注意が必要です。
たとえば、売買契約書に記載のない雨漏りやシロアリ被害は契約不適合責任の対象です。
売却が完了したからといって終わりではなく、引き渡し後に不具合が発覚すると補修などを請求されます。
契約不適合責任の期間
契約不適合責任の期間は原則として、不適合を知った時から1年です。
買主が不具合に気づいてから1年以内であれば請求されます。
ただし、中古住宅の売却における契約不適合責任の期間は、特約で3か月程度にすることが一般的です。
特約とは、その売買契約書ならではの条項という意味であり、売主と買主の合意があれば成立します。
なお売主が不動産会社の場合は、宅地建物取引業法があるため契約不適合責任の期間を2年とすることが一般的です。
既存住宅売買瑕疵保険とは?
既存住宅売買瑕疵保険とは、契約不適合責任を請求された売主を守ってくれる保険です。
つまり、不具合の補修などで費用負担が発生した場合、保険会社が代わりに費用負担してくれます。
ただし、既存住宅売買瑕疵保険はすべての不具合についてカバーしてくれるのではなく、対象が限られています。
既存住宅売買瑕疵保険の対象
既存住宅売買瑕疵保険の対象となる範囲は、大きく分けて以下の2種類です。
●構造耐力上、主要な部分
●雨水の浸入を防止する部分
たとえば、引き渡し後に雨漏りが発生した場合は、既存住宅売買瑕疵保険の対象であるため、対応可能です。
一方で、給湯器やユニットバスなどの設備機器類のトラブルは、既存住宅売買瑕疵保険の対象外になりますので注意しましょう。
既存住宅売買瑕疵保険に加入するには検査が必要
すべての中古住宅が既存住宅売買瑕疵保険に加入できるわけではありません。
すべての中古住宅が保険に加入できてしまうと、至るところで不具合が発生し、保険会社として成立しないためです。
既存住宅売買瑕疵保険に入るには、専門機関による検査が必要です。
専門機関の検査により「構造耐力上、主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」が問題ないと判断されると、既存住宅売買瑕疵保険に加入できます。
既存住宅売買瑕疵保険の相場
もちろん既存住宅売買瑕疵保険に加入するには、費用がかかります。
既存住宅売買瑕疵保険にかかる費用は保険法人や保険商品の種類によって異なり、一般的に一戸建て住宅の場合は2.6万円~4.9万円、マンションの場合は1.5万円~2.9万円とされています。
マンションは基本的に構造や屋根の部分が共用部とされており、既存住宅売買瑕疵保険の対象が小さくなるため費用も低くなる傾向です。
既存住宅売買瑕疵保険には個人と不動産会社の2種類がある
中古住宅の売主は、個人の場合と不動産会社の場合の2種類があります。
不動産会社が売主の場合は、不具合が発生した際の保険金の支払いに関しては、売主である不動産会社に請求するのが一般的です。
一方で、個人が売主の場合は、保険法人から検査機関へ保険金の支払いがされ、その後に買主への保証をおこないます。
不動産会社が倒産した場合であっても、保険法人から直接買主に保険金が支払われますので安心しましょう。
売却時に既存住宅売買瑕疵保険を利用するメリット
では、中古住宅の売却に既存住宅売買瑕疵保険を利用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
順番に解説します。
家の不具合があってもトラブルに発展しにくい
もっとも既存住宅売買瑕疵保険に入る理由として多いのが、売却後のトラブルを未然に回避するためです。
どれだけ細心の注意を払ったとしても見落としてしまい、すべての欠陥を見つけることはできません。
不具合が見つかる度に買主との協議が必要となり、合意とならなければトラブルに発展してしまいます。
また売主としても、中古住宅を売却した後もなかなか安心できず、契約不適合責任のリスクに不安が残ってしまうでしょう。
実際に費用負担が生じると、日々の生活にまで影響してしまいます。
既存住宅売買瑕疵保険に加入すると、保険会社が費用負担をしてくれるのでトラブルに発展しにくいのです。
家の安全性をアピールできる
中古住宅を購入する方は、ハウスメーカーなどから直接購入するわけではないので、不安を抱えている方も多いです。
誰もが安全な住宅を購入したいと考えており、家を作ったハウスメーカーと話ができない中古住宅は、どうしても不安が残ります。
既存住宅売買瑕疵保険に加入すると、専門機関の検査により問題ないというお墨付きを得られるので、買主も安心して住宅の購入することができます。
中古住宅の取引後にトラブルに発展させたくないのは、買主も同様です。
万が一、取引後に不具合が見つかっても、保険で対応できるので買主としても安心して購入できます。
税金の優遇措置を受けられる
既存住宅売買瑕疵保険に加入することで、買主は以下のような税金の優遇措置を受けられます。
●居住用財産の買換え特例
●登録免許税の軽減措置
●不動産取得税の軽減措置
他にも既存住宅売買瑕疵保険に加入すると、自治体からの補助金なども受けられる場合もあります。
住宅の購入は、人生の三大支出とされるくらい大きな買い物です。
買主のメリットも考慮し、既存住宅売買瑕疵保険に加入すると、中古住宅の売却がスムーズにいくかもしれません。
売却時に既存住宅売買瑕疵保険を利用するデメリット
最後に中古住宅の売却に既存住宅売買瑕疵保険を利用するデメリットをご紹介します。
きちんとデメリットもわかったうえで既存住宅売買瑕疵保険に加入するか判断しましょう。
売却にかかる費用が増える
中古住宅の売却をお考えの方のなかには、ローンが残っている状態で売却する方も多いのではないでしょうか。
ローンが残っている中古住宅の場合、売却にともない以下のような費用がかかります。
●仲介手数料
●抵当権抹消登記費用
●ローンの一括返済手数料
●印紙税
以上の費用で合計数百万円かかるのに加え、既存住宅売買瑕疵保険に加入すると更に7~15万円程度の費用がかかります。
既存住宅売買瑕疵保険に加入すると安心はできますが、安心をお金で買うことになるので、きちんと資金計画を立てましょう。
保険に加入するために改修が必要
築年数が古い家の場合、既存住宅売買瑕疵保険に加入するのに改修が必要になる恐れがあります。
たとえば、1981年5月31日までに確認申請を受けている住宅の場合、旧耐震基準となっているため現行の耐震基準を満たせていない可能性が高いです。
旧耐震基準の家では、既存住宅売買瑕疵保険に加入することはできず、耐震補強工事が必要です。
改修には多くの費用と時間がかかるため、そのまま売却される売主もいらっしゃいます。
全体的な収支のバランスを考えて、既存住宅売買瑕疵保険に加入するかしないかを判断する必要があります。
まとめ
既存住宅売買瑕疵保険は、売却後に不具合が発生した際に売主を守ってくれる保険です。
買主も安心して住宅を購入できるので、売却もスムーズになる可能性もあり、さまざまなメリットがあります。
ただし、加入には費用がかかり、大きな改修を必要とする場合もあるので、きちんと検討して加入するかしないかを判断しましょう。
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1940年創業、台東区・荒川区で地域密着
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