不動産売却をするとき、越境が原因でさまざまなトラブルに発展することがあります。
隣地の所有者との協力が必要な場面もあり、解決には時間がかかることもあります。
そのため、不動産売却にあたっては適切な対処が欠かせません。
そこで今回は、不動産売却における越境とはどのようなものなのかを解説します。
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弊社へのお問い合わせはこちら不動産売却で知っておきたい越境とは?
越境とは、建物や建物に付属する物などが、敷地の境界を越えてしまっている状態を意味します。
不動産売却において問題となる越境物には、次の物が挙げられます。
●ブロック塀
●屋根などの建物の一部
●樹木や枝葉
●給排水管・ガス管
ブロック塀のように地表部分で越境している物だけでなく、屋根や枝葉など空中部分についても境界を越えているときは越境物として扱われます。
そして越境は、ご自身の所有物が隣地を侵害しているケースばかりではありません。
隣地の枝葉などが、境界を越えてご自身の敷地内に入ってしまっていることもあるでしょう。
ご自身の敷地が侵害されている場合でも、基本的には越境物の所有者の許可がないと撤去できません。
それから、越境している枝葉からの落ち葉で排水溝が詰まった・害虫の被害があるなどの実害が発生していないと、越境物の撤去を強く求められないケースもあるので注意しましょう。
地中の越境物にも注意
不動産売却では、給排水管やガス管などの地中にある物も、境界を越えていないかどうかを確認する必要があります。
また、境界ぎりぎりに位置する構造物にも注意してください。
たとえば表面上は越境していないブロック塀も、地中の基礎部分が境界を越えてしまっていることがあります。
越境状態の解消には時間がかかる
たとえば枝葉が越境している程度の問題であれば、剪定すれば問題はすぐに解消されます。
しかし越境物のなかには、簡単には撤去できない物もあります。
たとえば屋根が越境していると、建物の一部を壊さなければなりません。
地中に埋設された給排水管も、すぐには移設できないことが多いでしょう。
このような場合には、越境物がある状態で不動産売却を進めなければならないことがあり、慎重な対応を求められます。
越境している物件の不動産売却における注意点
不動産売却の前に、まずは越境の状況を確認しなければなりません。
そのうえで、越境物の所有者や買主との間での調整も必要です。
そこで、越境物があるときの注意点を確認していきましょう。
境界確定をおこなう
不動産売却にあたっては、境界確定で越境の状況を確認しましょう。
測量図があったとしても、古い物は測量技術が劣り、正確ではない場合があります。
そのため、不動産売却前にあらためて境界確定をおこないましょう。
売買契約のあとに測量すると、契約内容と実際の状況が異なることを理由に契約解除を求められるリスクがあるので注意が必要です。
隣地の所有者の立ち会いが必要
境界確定にあたっては、隣地の所有者の立ち会いも必要です。
そして、双方の合意のうえで境界の確認書へ全員が署名押印し、境界を確定します。
また、境界は私有地だけでなく道路や公園などの公有地も確認しなければなりません。
隣地の数が多いほど、境界確定には時間と手間がかかります。
覚書を作成する
越境の状況を確認できても、すぐに越境物の撤去をおこなうことが困難な場合もあるかもしれません。
その際は、越境状態にあることを互いに合意したという内容について覚書を作成します。
覚書には、以下の内容を記載してください。
●当事者同士が越境している状況を確認していること
●越境物の情報(所有者や管理責任の所在など)
●越境している部分の土地の扱い(使用料発生の有無など)
●将来建て替える際は越境物を撤去するなどして、問題を解消すること
●売買や相続などで所有者が変更されたときも、覚書の内容を継承すること
不動産売却の際は、覚書で取り決めた内容について買主にも忘れずに引き継ぎましょう。
このとき、口頭で説明するだけでなく売買契約書にもその内容を盛り込んでおく必要があります。
売買契約書に記載されていないと、契約内容と異なるとして契約不適合責任を追及されることがあるので注意してください。
住宅ローンを組めない場合がある
越境物のある土地は、瑕疵物件と見なされてしまいます。
場合によっては建築基準法に違反した状態になるので、建物の新築や建て替えにあたり建築確認申請や完了検査に合格できません。
住宅ローンを組むためには建築確認申請や完了検査に合格する必要があるので、買主が住宅ローンを利用できない可能性があります。
この場合、買主は現金一括や金利が高い別のローンを利用しなければならず、不動産売却が難しくなるリスクに注意してください。
越境物を撤去する場合の注意点
越境物を撤去できる場合にも、気を付けたい注意点があります。
たとえば建物の解体をともなうときには、工事にあたり境界線の証である境界標が一時的に移動されてしまうことがあります。
工事完了後、正しい位置に境界標が復元されなければ、境界が不確実なものになってしまうので注意しましょう。
このようなリスクを避けるため、建物解体の際は隣地の所有者や工事関係者とともに、現地で立ち会い確認するのがおすすめです。
境界標や越境物、目印となる構造物との位置関係などを写真で記録しておけば、工事の前後で再確認できます。
越境している物件の不動産売却の方法
越境状態にある物件は、買主が同意すればそのままの状態で不動産売却できるものの、なかなか売却先が見つかりにくい傾向にあります。
そこで越境状態の解消が難しい物件は、通常の不動産売却以外の方法を検討してみるのもおすすめです。
不動産業者に買い取ってもらう
越境状態にある不動産は、訳あり物件として不動産業者の買取を利用する方法があります。
売却先が専門業者なので、あらかじめ越境物を撤去したり、覚書を作成したりといった手続きが不要です。
そのため、スピーディーに売却が完了するメリットもあります。
不動産売却にあまり時間をかけられないときや、越境物の撤去が困難なときは専門業者に買い取ってもらうのがおすすめです。
契約不適合責任が免責となる
不動産売却において、売主は買主に対して契約不適合責任を負わなければなりません。
そのため、越境物の有無のみならず、買主に告知していない不具合や欠陥が判明したときには、損害賠償や契約解除を求められることがあります。
越境が生じているような不動産の場合、築年数が古いなどの理由でほかの問題も生じているケースは珍しくありません。
しかし買主が専門業者であれば、契約不適合責任を免責とすることが可能です。
築古の不動産を売却したいときなども買取を検討してみてはいかがでしょうか。
越境している部分の土地を売却する・購入する
隣接する土地の所有者と、越境部分を売買することでも問題を解消することが可能です。
境界を侵害している側も、侵害されている側も、同時にこの問題を解消できるメリットがあります。
そして越境状態が解消されれば、通常の流れで不動産売却できる可能性が高まるでしょう。
ただし、越境部分を売買するためには購入側にまとまった資金が必要な点に注意してください。
まとめ
不動産売却で知っておきたい、越境とは何かについて解説しました。
越境物があっても、不動産売却自体は可能です。
ただし、越境物の撤去をめぐるトラブルや、建物を新築・建て替えできなくなるリスクがあります。
そのため、不動産売却前には越境状態の解消を目指しましょう。
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1940年創業、台東区・荒川区で地域密着
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