「自分が入院している間に不動産売却ってできるの」や「入院している親が不動産売却したいと言っているけど...」というお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
不動産売却は基本的に本人同士でおこなうものではありますが、入院中に病院を抜け出して、銀行まで行くわけにはいきません。
では、果たして自分や親など不動産の所有者が入院中であっても不動産売却はできないのでしょうか。
この記事では、所有者が入院中であっても不動産売却できる方法を自分や親のケースにわけて解説しています。
これから不動産売却の予定がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
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まずは、不動産の所有者である自分が入院中に、不動産売却をする方法を確認しておきましょう。
自分が入院中であっても不動産売却する方法は以下の3つです。
●関係者に病院まで来てもらう
●代理人を設定する
●名義変更する
では、順番に解説します。
関係者に病院まで来てもらう
入院中でありながら、比較的に容態が安定している場合に利用できる方法です。
自分が入院中であるため銀行まで出向けませんが、関係者に来てもらえれば契約が可能な状態です。
不動産売却は、原則的に買主と売主が立ち会って売買契約書を結ぶ必要があり、原則に従った方法です。
とはいえ、買主や不動産会社、銀行、司法書士など不動産売買契約には多くの関係者が存在します。
これらの方が病院に来られると他の入院されている方にご迷惑をお掛けしますので、病院に来てもらう際は事前に病院側の承諾を得ておきましょう。
また、最近では感染症予防の観点から、原則的にお見舞いなどを認めていない病院もありますので、事前に確認しておく必要があります。
代理人を設定する
「わざわざ関係者に病院に来てもらうのが申し訳ない」や「病院が認めてくれない」という場合は、代理人を設定することで自分が入院中であっても不動産売却が可能です。
もちろん未成年などの例外はありますが、代理人の設定は不動産所有者が認めれば基本的に誰でも問題ありません。
家族や親戚、司法書士や弁護士などを代理人とすることが一般的です。
代理人を設定して不動産売却をするなら、以下の書類が必要です。
●所有者の実印がある委任状
●不動産所有者の印鑑証明書
●代理人の身分証明書、実印、印鑑証明書
また代理人に依頼する場合、代理人の権限を設定する必要があります。
代理人にすべての権限を与えてしまうと、好き勝手に値段交渉などを進めてしまう恐れがありますので注意が必要です。
先述した「委任状」で代理人の権限について項目を列記し、権限を制限しておけば自分の意思とは異なる取引を防げます。
とくに「不動産売却における一切の手続きを与える」というような書き方には注意が必要です。
委任状の書き方は、司法書士や弁護士に依頼すると良いでしょう。
名義変更する
不動産の名義を妻や子どもに変更して、売却する方法です。
名義を変更しておくことで、自分が入院中であっても不動産売却が可能です。
ただし、所有権移転登記をするだけで名義を変更できるわけではありません。
不動産の名義を変更するには、不動産を贈与するか売却する必要があり、妻や子どもといった家族に名義を変更するなら贈与が一般的でしょう。
贈与とは不動産などの資産を無償で譲り渡すことであり、贈与を受けた側は贈与税を支払う必要があります。
贈与税の計算は、贈与した額から1年間の贈与基礎控除額110万円を差し引いた額に、贈与税10~55%をかけて計算します。
もちろん、贈与の額が大きくなるにつれて贈与税の税率も上がりますので注意しましょう。
親が入院中に不動産売却する方法
では、次に不動産の所有者である親が入院中に不動産売却する方法について解説します。
こちらも先ほど同様になりますが、以下のような方法があります。
●代理人を設定する
●名義変更をする
順番に解説します。
代理人を設定する
先ほどの自分が入院中の場合と同様になりますが、親が入院中であっても代理人を設定することで不動産売却が可能です。
もちろん、自分が代理人になることもできます。
自分が代理人となる際は、親のことを考えた不動産売却となるように配慮が必要です。
「いずれ相続するから」といって自分目線の不動産売却とならないように、きちんと親と話し合って不動産売却を進めましょう。
名義変更をする
こちらも先ほどの自分が入院中の場合と同様になり、多くの場合が贈与による名義変更になるでしょう。
贈与により親の不動産を譲り受ける場合、相続時精算課税制度を利用できます。
贈与を受けた場合、贈与税を支払う必要があると先述しましたが、相続時精算課税制度を利用すれば贈与税を支払う必要がありません。
相続時精算課税制度とは、実際に相続が発生した際に生前に受けていた贈与に対する税金も支払う制度であり、贈与を受けた際の税金の支払いを繰り延べる方法です。
ただし、2,500万円を超える贈与がある場合は、超えた部分に対して20%の税金が課されますので注意が必要です。
また、贈与により名義変更をおこなってから不動産売却する場合、ほかの相続人と話し合いをおこなっておきましょう。
相続が発生する前にあらかじめ贈与を受けていると、他の相続人からすると本来相続できる資産が目減りしたことになります。
ただでさえ相続における親族間のトラブルは多いものです。
「まさか自分の親族に限って、大丈夫」と高を括らず、きちんと協議をしたうえで贈与や不動産売却おこないましょう。
認知症で入院中の場合でも不動産売却はできる?
最後にご紹介するのが、所有者が認知症で入院している際の不動産売却についてです。
所有者が認知症で入院中の場合でも不動産売却は可能ですが、成年後見人を選ぶ必要があります。
成年後見人とは、所有者が認知症などを患い適切な判断が難しい場合に、所有者に代わって資産を運用する権限が与えられた人物です。
ただし、成年後見人に任命されたからといって、自分の好き勝手に資産を運用して良いわけではなく、所有者のためになるように資産を運用する必要があります。
たとえば不動産売却で得た資金は、所有者の入院費や施設への入居費などに充てることが望ましいでしょう。
成年後見人には、以下の2種類があります。
●法定後見制度
●任意後見制度
順番に解説します。
法定後見制度
所有者本人がすでに認知症を患い、適切な判断ができない場合に利用する制度です。
家庭裁判所に申立てをおこない、後見人を選任してもらいます。
家庭裁判所は、申立ての理由や医師の診断などから総合的に判断し、後見人を選任します。
また、申立てをする際に成年後見人に候補を推薦できますが、必ず選任されるわけではなく、弁護士や司法書士から選任されるケースも多いです。
これは親族などが成年後見人となると資産の使い込みが懸念されるからです。
なお、未成年の方や破産した方は、成年後見人になれませんので注意しましょう。
任意後見制度
本人が認知症を患う前の適切な判断できる状態で、あらかじめ成年後見人を選任しておく制度です。
法定後見制度とは違い、所有者自ら任意後見人を選任できます。
任意後見契約を利用するなら任意後見契約が必要です。
任意後見契約のない場合は、無効となりますので注意しましょう。
また、任意後見契約が有効になるのは、認知症を発症し、家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらってからです。
任意後見監督人には、成年後見人が所有者の利益に相反する行為をしていないか確認する役割があります。
まとめ
自分や親など所有者が入院中であっても不動産売却は可能です。
方法をきちんと理解し、自分に合った売却をおこないましょう。
また所有者が認知症なら、適切な判断ができないとされ不動産売却そのものができなくなります。
不動産売却するには、成年後見制度を利用する必要がありますので注意しましょう。
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