不動産売却をおこなう場合、通常物件に不具合があれば売主が修繕してから買主へ引き渡します。
築年数の古い家を売る方法として、そのままの状態で不動産を売る「現状渡し」という方法であれば、修繕費を抑えられるかもしれません。
この記事では現状渡しとはどんな方法なのか、メリットとデメリットについて解説します。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら不動産における現状渡しとはどのような売却方法か
まずは、不動産売却における「現状渡し」の意味をご説明します。
現状渡しとは
不動産取引における現状渡しとは、物件の不具合を直さずにそのままの状態で買主に売却する方法をいいます。
一般的には、不具合が見つかれば修繕してから引き渡します。
しかし、現状渡しの場合には壁紙が破れていたり雨漏りしていたりといった不具合を買主に告知し、そのままの状態で物件を売るのです。
老朽化が進んだ古い家などの不動産を売り込むために有効な手段の1つで、補修工事をおこなわずそのまま売った方が良いと判断される場合があります。
家具家電を残したまま引き渡せるか?
家財の処分などは、売主が負担して引き渡すのが一般的です。
もし、残したまま売り込みたいのであれば、家財の処分費用を販売価格から引いたり買主に支払ったりすることが多いです。
しかし、一般的には残留物は売主が処分します。
買主のほとんどが、自分で選んだ家具や家電などを使いたいと思うものです。
自分以外の方が使っていたものは衛生面が気になり、古いだけでなく使いにくいなどの理由によって買い替える場合も多いようです。
家財の処分費用を販売価格から引いたりする場合であれば、販売価格が3,000万円で処分代に売主が30万円払うか、もしくは3,000万円から30万円を引いた2,970万円で売却することになります。
現状渡しの法的範囲とは
現状のまま契約を交わしたからといって、後は責任を負わなくても良いというわけではありません。
現状渡しにおけるトラブルを回避するためにも、おさえておきたい法的責任が2つあります。
1つ目の告知義務とは、売主が物件を売却する際に買主に知っている物件の状態をすべて報告しなければならないというものです。
実際には、契約書に欠陥や不具合について記載します。
たとえば、雨漏りや外壁材の割れなどは修繕が必要になります。
売主が告知義務を怠った場合は、買主に損害賠償請求や契約解除を要求される可能性があるのです。
2つ目の契約不適合責任とは、違う物件を引き渡された場合に売主が買主に対して負う責任のことです。
ここで注意しなければならないのは、買主に引き渡した後にわかる契約書にない物件の不具合については売主に責任があることです。
追完請求に対応してもらえない場合は買主が売主に損害賠償請求することが可能です。
不動産売却で現状渡しをするうえでのメリットとは
次に現状渡しによるメリットをご紹介します。
家を手入れする手間・コストがかからない
現状引き渡しにおいて、リフォームやメンテナンスなどの手間や費用をかけずに済むことがメリットに挙げられます。
また買主によっては、家具や家電などほしいものがあれば使ってくれることもあるため、処分する手間が省けます。
しかし、買主からすると価格を比較した場合に、少しでも良い条件のものを購入したいはずです。
現状のまま売り込むには、今の状態を不動産会社へ報告しておきましょう。
また買主側から見たら、リフォームなどに余分な費用がかからない分、物件価格が安いのが魅力です。
安くなった分だけ、バリアフリーやスキップフロアなど自分好みのリフォームができるのも、現状渡しのメリットといえます。
不動産会社の買取なら、契約不適合責任の適用にならない
古い家であるためニーズが低かったり買主を見つけられそうもなかったりと、売却できるか心配な場合は不動産会社に買い取ってもらう方法があります。
不動産会社が買い取ると、個人同士の売却にある「契約不適合責任」がほとんど適用にならないという点もメリットです。
仲介で引き渡した場合は、物件の不具合を売主が不動産会社に報告していなかったり、検査をせずに販売してしまったり、契約内容にない不具合がある場合は契約不適合責任としてあとで修繕などを求められます。
買取であれば契約不適合責任が当てはまらないため、不具合が起きやすい古い建物でも、売れる確率は高くなるでしょう。
早期売却の可能性が高い
現状渡しであれば補修や修繕をおこなわなくて済むため、売却するまでに工事の期間を考える必要がありません。
したがって、売却活動に早く取り掛かれるので、できるだけ早く売りたいと考えているかたには有効な方法といえます。
しかし修理を事前におこなっている物件のほうが、現状渡しより良い利益がでる可能性が高くなります。
時間と費用を抑えてすぐにでも売却により現金化したい方にとって現状渡しはうれしいところです。
また買主にとっては、補修や修繕の時間を省け、早く売買契約を結べる点が魅力です。
現状渡しをするうえでのデメリットとは
ここでは現状渡しのデメリットについて解説します。
問題点もあるため相場よりも安い売却になる
中古住宅を比較すると、やはり問題点の少ないより良い条件のものが人気です。
新築ではないので経年劣化や使用感は納得のうえですが、同じぐらいの価格で同等の条件の物件がたくさん売りに出されています。
売却価格が同じぐらいなら、少しでも良い条件の物件が選ばれます。
したがって、損しない程度に相場よりも価格を下げる必要があります。
買主は、物件を安く購入できたものの、補修にどれだけ費用がかかるかわからないといった不安を抱えています。
修繕費用が気になるところですが、販売価格を下げると買主が興味を持ち売却につながるチャンスが多くなります。
家具や家電などを撤去しなければならない
現状渡しはそのまま売るといってもゴミや家具、家電など何でもそのままにしておいて良いわけではありません。
不要なものを仕分けしたうえで撤去する必要があるのです。
たとえば、不用品や粗大ごみなどをそのままにしておくのであれば、売買契約書に記載しておく必要があります。
一般のごみと違い、回収してもらう必要があるものや家電リサイクル料金が必要なものがあるため、費用もかかってきます。
残ったものに対して、売主と買主との間で合意していなかったらトラブルにもなりかねないため、注意が必要です。
契約不適合責任によるリスク
契約書に記載されていない不具合が見つかった場合に、売主は責任を負う可能性があります。
売り渡した後に買主が調査をおこなった場合、不具合が出てくる可能性が高く、契約不適合責任を負わなければならないかもしれません。
そのため、現状渡しをした後、自分でも知らなかった不具合が買主によって発見される可能性があることも頭に入れておきましょう。
また売主にとっては、契約不適合になってしまうと不具合に対して修繕費が発生し、一つ間違えば損害賠償に発展する可能性も出てきます。
売主は不動産の状態を住宅診断の専門家である住宅診断士に評価してもらい、客観的な視点で不具合をチェックし告知しましょう。
前もって欠陥が分かれば修繕できるので、契約後のトラブルを未然に防げます。
まとめ
不動産売却における方法の1つである現状渡しは、家を手入れする手間やコストがかからないなどのメリットがある反面、不具合を残したまま売却をしてしまうことで、買主との間にトラブルが起こる可能性があります。
不具合がある場合は、買主や不動産会社に前もって申告し、契約書に明記することをおすすめします。
不動産の売却を検討している方は、現状渡しを1つの売却方法として参考にしてください。
1940年創業、台東区・荒川区で地域密着
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら