不動産を購入する際、忘れずに受け取っておきたいのが重要事項説明書というものです。
専門用語が多く難しいイメージがあるかもしれませんが、大事なことが記載されていますので、しっかり理解した上で契約することが重要です。
住みはじめてから問題点が見つからないよう、売主から確認すべき点はたくさんあります。
今回は、そんな重要事項説明書で知っておきたいポイントについてご紹介いたします。
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら不動産購入時の重要事項説明書とは
不動産を買う側を守るためのもの
重要事項説明書とは、不動産売買をおこなう際、取り扱う土地や建物に対する重要な内容を共有する書類のことです。
不動産のやりとりは、知識がないもの同士がおこなうと、あとで大きなトラブルになることも少なくありません。
とくに、買主側が損をしやすいため、購入時の認識にズレがないかを確認し、説明してもらうよう心がけましょう。
重要事項説明書のなかでは、宅地建物取引士が漏れなくすべての項目について書面で説明する必要があります。
主な記載内容
重要事項説明書に記載されている内容は、大きく分けると「物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」の2つです。
取引する土地や建物に対して、権利や義務、制限といったものが書かれているのが特徴となっています。
なかには、売主側が秘密にしていたことが判明した場合、契約を白紙撤回できる、といったものもあるので、よくチェックしておきましょう。
どのような条件で発動するのか、しっかりと確認しておくことが大切です。
物件に関する記載事項
・土地や建物に関する事項
・登記記録に記録された事項
・都市計画法・建築基準法等の法令に基づく制限の概要
・私道の負担に関する事項
・造成宅地防災区域内か否か
・土砂災害警戒区域内か否か
・津波災害警戒区域内か否か
・水防法施行規則の規定により市町村の長が提供する図面(水害ハザードマップ)における当該宅地建物の所在地
・住宅性能評価を受けた新築住宅である場合
・石綿使用調査結果の記録に関する事項
・建物状況調査の結果の概要(既存の住宅のとき)
・建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況・建物の耐震診断に関する事項(既存の建物のとき)
・飲用水・ガス・電気の供給施設及び排水施設の整備状況
・宅地造成又は建物建築の工事完了時における形状・構造等 (未完成物件等の場合)
物件に関する記載事項としては、土地建物の所有者や所在地、面積、構造などの基本情報から登記された建物の種類や私道に関する負担などが記されています。
また、災害時に困らないよう、土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域にある物件ではないか、耐震診断の内容なども記載しています。
そのほかにも、生活するうえで欠かせない、水道や電気といったインフラ関係の説明が必要となります。
取引条件に関する記載事項
・代金・交換差金及び地代に関する事項
・代金・交換差金以外に授受される金銭の額及び授受の目的
・契約の解除に関する事項
・損害賠償額の予定又は違約金に関する事項
・手付金等保全措置の概要
・支払金又は預り金の保全措置の概要
・金銭の貸借に関する事項
・割賦販売に関する事項
・宅地又は建物の契約不適合を担保すべき責任に関する保証保険契約等の措置
取引条件として書かれる内容には、売買代金がいくらかといった具体的な金額から、万が一契約解除となる場合の事項などが記されています。
それに伴い、違約金や損害賠償額に関する説明も記載する形です。
また、不動産代金以外に受け取る金額(例:固定資産税・都市計画税清算金など)などについても必要となります。
そのほか、支払金に関する保全措置(=売主が不動産会社となる場合に買主が不慮の損失を被らないようにするため、あらかじめ取られる対応)についても記載してあります。
建物ごとで必要な記載事項(マンションの場合)
その他、建物ごとに発生する必要記載事項として、マンションを売却する際に注意すべき点があります。
たとえば、マンションの共用部分に関する規定についてです。
また、専有部分の利用制限や敷地に関する権利などが挙げられます。
マンションごとに定められた規約がありますので、「あとで聞いてなかった」とならないために、しっかりと確認するようにしてください。
不動産購入時の重要事項説明書で重視すべきポイントとは
物件そのものの情報
物件に関する情報については、建物の所在地などが登記簿情報と一致しているか確認しましょう。
また、不動産の面積についても、購入時に受け取った資料と差がないかチェックする必要があります。
なお、土地の面積は登記簿と実測の面積が異なっていることがあり、この場合はどちらの面積に基づく売買かを明確にしておきましょう。
建物の面積も登記後に増改築された場合は、登記簿と一致しないケースがありますので、増改築時の図面と照らし合わせて確認しておくことをおすすめします。
そのほか、登記された権利の内容を確認しましょう。
特に土地・建物の所有権以外の権利に、抵当権を含む権利関係が設定されていないかチェックしておくことが必要です。
抵当権とは、住宅ローンを借りた場合、万一返済できなくなったときに金融機関がその物件を処分した資金から優先的に返済を請求できる権利のことです。
抵当権が記されている場合、通常、引き渡しまでに抹消することが条件となるので、いつ抹消されるのかを明確しておましょう。
法令上における制限
法令上に関する説明事項としては、都市計画法や建築基準法など各種法令の制限を確認しておきましょう。
「用途地域(=計画的な市街地を形成するために、用途に応じて13地域に分けられたエリア)」「建ぺい率(=敷地面積に占める建築面積の割合)」「容積率(=敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合)」が記載されてあり、これらの制限により建てられる建物の階数や用途などが決まります。
建物の状態について
建物そのものについて確認すべきポイントは、道路との関係が重要となります。
建築基準法では、原則として道路に2m以上接していないと建物を建てることはできず、また前面道路の幅が4m未満の場合には、道路に面する一定部分を後退(セットバック)させる必要が生じます。
そのため、道路の種類(公道・私道)、幅員、私道の場合には負担金の有無などをチェックしておきましょう。
契約解除に関する内容
万が一、売買契約を解除する場合に備えて、あらかじめ契約違反に関する事項や契約を解除できるケースと期限を押さえておきましょう。
契約違反については、たとえば引き渡し期日までに建物の所有権が変わらなかった場合などです。
反対に、買主側においても、支払い期日までに不動産代金を支払わないと契約解除になる、といった内容が書かれています。
また、解除する際は契約時に支払う手付金等は返還されるかどうか、違約金が発生するのか等も確認しておくことが大切です。
そのほか、ローン特約(=住宅ローンを利用する場合、売買契約後に仮に住宅ローンが否決となった場合に、白紙解約となる特約)が設定されているか、その場合は期限はいつまでかなどを確認する必要があります。
告知書の存在
重要事項説明書が作られるのは、不動産会社による調査がおこなわれたタイミングです。
そのため、売主でしか知りえない問題が記載されていない場合も少なくありません。
取引後にトラブルとならないためにも、重要事項説明書と併せて告知書の用意も依頼しましょう。
告知書には、例えば住宅設備機器が故障していたり、雨漏りしていたりする箇所があれば記載します。
売主はこれらの事実を隠して契約し、入居後にそのことが発覚すると、買主は売主に対して「契約不適合責任(=瑕疵担保責任)」にもとづいて損害賠償請求できることになっています。
ただし、契約不適合責任も住宅ローン特約と同じく義務ではなく、任意でつけるものなので、契約時の特約はどうなっているか、しっかり確認しておきましょう。
不動産購入時の重要事項説明書を受けるときの注意点について
数十年後も安心して住める建物か
不動産を購入後、何十年先も安心して住める場所か、というのを確認しておかなければいけません。
たとえば、今後土地開発などにより、周辺の建物から生活に影響を及ぼさないのか、ということです。
また、ぱっと見たときには気づきづらい部分であっても、時間帯によっては隣接する建物からの影響が発生する可能性もあります。
道路の拡張工事なども含め、今後何らかの影響が出ない場所か、あらかじめ知っておきましょう。
登記簿謄本などの情報と不一致がないか
用意された登記簿情報と重要事項説明書の記載事項に不一致がないか、かならず確認をしておきましょう。
また、仮登記となっている建物については、いつ登記されるのかも明確にしておかなければいけません。
そのほかにも、買戻し特約登記がされている場合、買主側に物件が移ったあとに所有権が変わってしまう危険性があります。
売主側で支払いの保証がされていない場合、トラブルを未然に防ぐためにもいつまでに抹消するかを確認しておきましょう。
一戸建てを購入する際の注意点
一戸建て物件を購入する際には、生活に欠かせない水道・ガス・電気などのインフラ整備の有無はもちろん、公営か私設かも確認しておきましょう。
もし、排水部分が公共下水道ではない場合、どのように対処すべきか書かれていないといけません。
また、それぞれの電気などの整備が済んでいない場合、工事費用の負担はどちらがおこなうのか、などの記載が必要となります。
また、建物の築年数が古い場合、数年後に改修工事が必要となるケースもあります。
この場合の負担金も、売主と買主どちらが支払うのかを明確にしておきましょう。
マンションを購入する際の注意点
マンション購入時には管理費用や修繕積立金の有無を確認しましょう。
また、これまで物件を所有していた方が、各費用の滞納をしていなかったか、というのも重要になります。
そのほかにも、車を所有している場合には駐車場の確認や、共用部分のなかで使用できる範囲も確認しておきましょう。
物件購入以外に必要となるお金について
不動産を購入する際、建物の費用以外にもお金がかかる場合があります。
たとえば、契約時の手付金などについてです。
余計な費用が求められないよう、手付金の保全措置が必要なのか、また必要となる金額についても明確にしておきましょう。
まとめ
重要事項説明書は買手側にとって、その名の通り、不動産取引の際に重要な事項が記載されており、不動産購入時に欠かせないものです。
普段聞きなれない法律に関する説明などもあるため難しく感じることもあるかもしれませんが、契約後に「言った」「言っていない」の問題を未然に防ぐ効果があるものなので、よく確認しておくようにしましょう。
また、建物だけではなく、その周辺の土地においてもトラブルが発生しないか、チェックしておきましょう。
1940年創業、台東区・荒川区で地域密着
\お気軽にご相談ください!/
弊社へのお問い合わせはこちら