家を探すときに「借地権」という言葉を見かけた方も多いと思います。
あまり聞きなれない言葉ですが、どのような意味かご存知でしょうか。
今回は、家の購入を検討している人に向けて、言葉の意味やメリット・デメリット、住宅ローンの注意点を解説します。
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日常会話の中で登場することはあまりない言葉「借地権」。
借地権とは、建物の所有を目的に土地を借りる権利のことです。
借りる人のことを「借地人」と呼び、貸す人のことを「地主(=土地所有者や底地人)」と呼びます。
借地人は土地を借りる対価として、地主さんに毎月地代を支払います。
一方、土地も建物も購入者自身のものになる権利を「所有権」と言います。
【借地権の種類と特徴】
一言に借地権と言ってもいくつかの種類があります。
まず、1992年7月以前の契約である「旧法の借地権」か、それ以降の「借地借家法による借地権(新法)」かで分けられます。
そして借地借家法による借地権(新法)には、普通借地権と3つの定期借地権、一時使用の借地権の5つの分類に分けられます。
それぞれの種類を1つずつ解説していきます。
旧法の借地権
1992年7月以前の契約の場合、旧法の借地権が適用されています。
旧法の借地権の特徴は、借地人の権利が手厚く保護されている点です。
また家の構造によって借地権の存続期間が異なります。
非堅固建物(木造)の家は最短20年、堅固建物(鉄骨や鉄筋コンクリート)の家は最短30年が存続期間として定められています。
存続期間を定めずに契約した場合は非堅固建物30年、堅固建物は60年となります。
更新後の存続期間も建物の構造によって差があります。
しかし、存続期間に決まりはあるものの、地主側からは正当事由が認められない限り、更新の拒絶はできないとされています。
つまり、借地人は契約期間満了後も、更新により半永久的に土地を借りることができます。
なお、旧法の借地権で締結された契約は現行の借地借家法は適用されないため、更新された場合は依然として旧法の借地権が適用されます。
そのため、今でも多くの借地権は旧法の借地権として存在しています。
借地借家法:普通借地権
普通借地権は、現行の借地借家法による借地権ですが、旧法の借地権を基本として作られた借地権のため、ほとんど内容は変わりません。
旧法の借地権と違う点としては、存続期間が挙げられます。
借地借家法の普通借地権では、家の構造による存続期間はなくなり、存続期間は一律最短30年となっています。
借地人と地主でこれより長い期間を設定した場合は、その契約内容が優先されます。
更新のときは1回目20年以上、2回目より先は10年以上と定められています。
また、旧法の借地権と同様に、契約は借地人が希望すれば原則更新され、地主側が更新を拒否できるのは正当事由がある場合のみです。
しかし、火災等で家が焼失して土地を借りる必要がなくなったときや、立退き料等の支払いを地主が申し出た場合にはこれらを考慮して正当事由として判断できることになり、旧法の借地権と比べると地主は更新を拒絶する正当事由が認められやすくなっていると言えます。
なお、地主の正当事由が認められて契約終了となった場合は、借地人は地主に建物を時価で買い取ってもらうための建物買取請求権を行使できます。
借地借家法:定期借地権
定期借地権は、旧法の借地権や普通借地権とは異なり、契約の更新のない借地権のことです。
特に旧法の借地権では、借地人の権利が強く、一度借地を貸してしまうと地主は土地を取り戻すのが困難となり、様々なトラブルが発生しました。
そこで、1992年から施行された借地借家法による借地権では、更新のない定期借地権が定められました。
【定期借地権の種類】
定期借地権には、「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用定期借地権」の3種類があります。
①一般定期借地権
一般定期借地権は、存続期間50年以上、用途の制限がない借地権です。
一般定期借地権を設定するときには契約書を書面で残しておく必要があり、「存続期間50年以上」「契約の更新がない」「存続期間の途中で建て替えた場合でも存続期間の延長はない」「契約期間満了時には借地人に建物買取請求権がない」ことを明記することが重要です。
もし契約書でこれらの項目に漏れがあった場合には一般定期借地権とは認められず、更新のある普通借地権とみなされてしまうので注意が必要です。
なお、契約期間が満了したら、借地人は土地を更地にして地主に返す必要があります。
②建物譲渡特約付借地権
建物譲渡特約付借地権は、契約期間満了時に建物を買い取ることを約束した借地権です。
存続期間は30年以上で定めます。
また、期間満了後も借地人から継続使用の請求があったときには、期間の定めのない賃貸借契約が交わされたものとみなされ、地主は建物の貸主、借地人は建物の借主という関係に変わります。
③事業用定期借地権
事業用借地権は、名前のとおり、事業目的のみ契約が可能です。
在続期間は普通借地権や他の定期借地権とは異なり、最短10年以上、最長50年未満です。
なお、事業用定期借地権の契約は、公正証書で作成する必要があります。
この借地権は、コンビニやファミレス、ガソリンスタンドなどで活用されることが多いです。
【一時使用目的の借地権】
名前のとおり短期間使用する場合の契約です。
工事や建築などのときに仮設で建てられるプレハブなどは、この一時使用目的の借地権が使われています。
名前に「一時」とつくだけあり、10年以下の契約、更新はありません。
借地権の種類まとめ
旧法の借地権:借地人の権利が強い。
普通借地権(新法):旧法の借地権とほぼ同じ。存続期間が異なる点や正当事由が旧法の借地権と比べると認められやすくなった。
定期借地権(新法):契約の更新がない借地権。
借地権付きの家を購入するメリットとデメリット
ここからは借地権付きの家を購入する場合のメリットとデメリットを説明していきます。
メリットとデメリットを見比べ、自分たちのライフプランに合っているのか考えてみましょう。
【借地権のメリット】
まずは借地権付きの家のメリットを見ていきましょう。
借地権のメリット①所有権よりも安い
借地権付きの家は、地域などで異なりますが、土地の価格が所有権で購入するよりも約6~8割の費用で済みます。
土地の価格が高いエリアであるほど、購入費用を大きく抑えられる可能性があります。
借地権のメリット②土地の税金は支払い不要
借地権は土地を借りている状態なので、土地の名義は地主です。
税金というのは、使用している人が払うのではなく、名義人に支払い義務があります。
借地権付きの家の場合、建物に関する税金の支払いは必要ですが、土地の税金(購入時の不動産取得税や毎年の固定資産税・都市計画税)の支払いは必要ありません。
借地権のメリット③旧法の借地権もしくは借地借家法による保護
借地権付きの家は、特に旧法の借地権の場合は、法律で借りる側はしっかり守られています。
定期借地権でなければ、急に立ち退いてほしいと言われても、正当事由が認められない場合は更新されるため、長く入居することが可能です。
【借地権のデメリット】
メリットがあるものには当然デメリットも存在します。
借地権のデメリットは下記の通りです。
借地権のデメリット①売却や増改築が自由にできない
先ほどメリットで土地の名義は地主のため、土地の税金を支払わなくていいと説明しました。
「名義が自分ではない状態」というのは、メリットだけでなくデメリットにもなります。
それは、リフォームや増築するときや家を売却するときに地主の許可がいる点です。
自分の土地であれば自由にできる事柄でも、土地を借りているからこそ売却や増改築に制限がかかってしまいます。
借地権のデメリット②毎月土地代を支払う
土地は借りているので、毎月土地代を支払う必要があります。
土地の固定資産税や都市計画税がかからない一方、地代を払い続けることを負担に感じる人もいるでしょう。
ただ、土地代のトータルの支払金額は、購入するよりも借りるほうが大幅に抑えることができます。
借地権のデメリット③融資を受ける事が難しい
借地権付きの家は利便性や立地条件の良い場所にあることも多く、そういった面からも借地権付きの家を購入したいと考える方がいます。
しかし、借地権付きの家は銀行の融資を受けづらいというデメリットが存在します。
それはなぜなのか、次の章で説明します。
借地権付きの家を購入するときの住宅ローン
ここからは、借地権付きの家を購入するときの住宅ローンの注意点を解説していきます。
土地と家を所有権で購入するときの住宅ローンとは少し異なり、借地権だからこその制約もあります。
1つずつ見ていきましょう。
担保価値の低さ
借地権付きの家を購入するとなると、住宅ローンの審査は厳しくなります。
銀行によっては、「当社では借地権では住宅ローンを組めない」と明記しているところもあるほどです。
なぜなら、土地を借りているので担保価値は家のみで判断され、価値は低くなるからです。
住宅ローンは、基本的に家や土地を担保価値の材料として判断します。
しかし借地権付きの家の場合、土地の名義は地主のため、担保価値の材料は家のみで、売却も自由にできず、流動性も低いです。
そのため、担保価値は土地がない分低くなり、大きな金額の住宅ローンを組むことは難しくなります。
借地権解除に対するリスク
銀行は契約違反や差し押さえなどがあったとき行使できる権利として、抵当権という権利を持っています。
これは、契約違反などローン回収ができなくなったときの保険のようなものです。
しかし借地権付きの家の場合、抵当権を行使する前に借地契約解除して逃れる可能性を持っているのです。
もし借地契約を解除して抵当権を行使できなければ、銀行は多大な損害を被ります。
このようにリスクが多いからこそ、厳しい審査になることがほとんどです。
住宅ローン返済期間
借地権付きの家を購入する場合、返済期間の設定が通常とは異なる場合があります。
たとえば、築20年の定期借地権付きの家を中古で購入したとします。
この場合、定期借地権が付いているので住める期間は30年になりますが、ローンを35年で組むというのは基本的にはできません。
銀行など金融機関にもよりますが、残りの存続期間から10年など一定期間を引いた年数でローンを組むことになります。
先ほどのたとえの場合は、残りの存続期間は30年、ローン期間はマイナス10年とすると、20年でローンを返済しなければなりません。
新築の場合はあまり関係がないかもしれませんが、中古も視野に入れている場合は覚えておきましょう。
まとめ
今回は、そもそも借地権とはどういう意味かということから、購入するときに気を付けること、そして住宅ローンの注意点を解説してきました。
土地と建物で所有権が分かれるため、購入費用を抑えられるなどのメリットがありますが、売却や増改築を行う際に地主に承諾を得る必要があるなど注意点もあります。
メリットとデメリットをしっかり理解したうえで、ご自身に合う物件を探してみてください。
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