最近寒くなってきましたね。
こんな時期は「賃貸物件で石油ストーブを使いたい」そのように考えている人もいるかもしれません。
燃料を使った暖房器具は立ち上がりも早く、すぐにあたたまるのがメリットです。
しかし石油ストーブが禁止されている物件も多いので、契約時は注意が必要です。
この記事では賃貸物件でなぜ石油ストーブが使用できないのか、その理由と無断使用した場合の問題点、善管注意義務とはどのようなものなのかを詳しくお伝えします。
賃貸で石油ストーブが禁止されている理由
まずは賃貸物件でなぜ石油ストーブが禁止なのか、その理由をみていきましょう。
火事を予防するため
まず1つ目の理由は火事を予防するためです。
毎年寒い季節になると、暖房器具による火災のニュースを多く目にします。
その原因のほとんどが、石油ストーブや灯油ストーブ、石油ファンヒーターといった燃料を使うものです。
火事は出火元だけでなく、ほかの部屋にも延焼する可能性があるため、大家さんや不動産管理会社にとって大きなリスクとなります。
そのため多くの賃貸物件で石油ストーブの使用が禁止されているのです。
一酸化炭素中毒の危険性
禁止されている理由の一つとして、一酸化炭素中毒の危険性もあげられます。
一酸化炭素中毒とは室内の酸素濃度が低下し、不完全燃焼が続くことで起きる中毒症状です。
一酸化炭素は無味無臭の気体でかつ毒性が強いため、気づかないうちに一酸化炭素中毒になることがあります。
頭痛やめまいなどを引き起こし、死に至ることもある恐ろしい気体なので、石油ストーブを使う際は適度な換気が必要です。
そもそも石油ストーブは、昔の木造住宅でよく使用されていました。
木造住宅には隙間が生じるため、換気が自然にできていたからです。
しかし最近の住宅は高気密化がすすみ、賃貸物件においても高気密・高断熱の物件が増えています。
ちなみにガスコンロなどでも一酸化炭素は発生します。
ガスコンロは使う時間が限られているため、重大な事故につながりにくいですが、石油ストーブの場合、長時間使用するのが一般的です。
長時間利用すれば、そのぶん事故のリスクも高くなるといえます。
また最近は少子高齢化の影響で、一人暮らしする高齢者も増えてきました。
「付けたまま寝てしまった」「換気を忘れていた」という事故も実際に起こっているため、大家さんや不動産管理会社は石油ストーブを敬遠する傾向にあります。
結露が発生する
禁止の理由として、結露の発生もあげられます。
燃料を使う石油ストーブは、使った燃料のぶんだけ水分を放出する開放型の暖房器具です。
そのため使えば使うほどカビや結露が発生しやすくなり、建物の劣化や異臭を招いてしまいます。
結露は湿度の高い梅雨や夏に発生するものと思いがちですが、外が寒く室内はあたたかい冬にも発生しやすい現象です。
冬は結露が発生しやすい季節なので、石油ストーブを使用することで湿度がさらに上がり、「窓が水滴だらけ…」という事態も起こりやすいでしょう。
賃貸で禁止されている石油ストーブを無断使用した場合の問題点
つぎに賃貸物件で禁止されている、石油ストーブを無断使用した場合の問題点をみていきましょう。
使用禁止の賃貸物件でこっそり石油ストーブを使った場合、契約違反になり、退去を求められたり高額な原状回復費用を請求されたりする可能性があります。
賃貸物件を借りる際の注意事項は契約書のなかにその旨が記載され、契約時に重要事項説明とともに読み合わせを実施するのが一般的です。
そのため「知らなかった」という理由で無断使用を許してもらうのはむずかしいでしょう。
また結露を放置したことで生じたカビは、日常生活で起きた消耗の範囲外に該当するのが一般的です。
クロスの張り替え代やクリーニング代を請求されることもあるため、退去時のコストが膨らむ可能性があります。
さらに石油ストーブを無断使用し、万が一火事が発生した場合、大家さんに対する賠償責任が発生するのも問題点です。
無断使用はさまざまなリスクを負うことになるので、契約違反にならないよう、約束はしっかり守るようにしてください。
停電時に使いたい場合
地震などの自然災害が起きた際、住んでいる賃貸物件でも停電する可能性があります。
もし真冬に停電した場合、エアコンなどの暖房器具も使用できなくなるでしょう。
そのような緊急時に石油ストーブを使いたいときは、契約する前に大家さんや不動産管理会社に相談しておきます。
OKがもらえた場合は入居後のトラブルを防ぐため、その旨を記載した書面を残しておくのがおすすめです。
事故が発生したら?
もし無断使用で事故が発生した場合、善管注意義務を問われる可能性があります。
賃貸物件では一般的にペットの飼育や楽器の使用が禁止されていることは広く知られていますが、石油ストーブが禁止されていることを知らない人も多いです。
善管注意義務についてはつぎのセクションで詳しくお伝えしますが、事故が発生すると大変なので、ほかの暖房器具を使うようにしてください。
たとえば最近の賃貸物件はエアコンが付いている物件がほとんどです。
エアコンは電気代が高額になるイメージがありますが、新しい機種であれば節電や省エネ効果が期待でき、光熱費の削減が期待できます。
ホットカーペットやこたつ、電気ストーブなど、燃料を使わない暖房器具を併用するのもおすすめです。
賃貸で禁止の石油ストーブを使用した際に問われる善管注意義務とは
最後に賃貸物件で禁止の石油ストーブを使用した際に問われる、善管注意義務とはどのようなものなのかをみていきましょう。
善管注意義務とは「善良な管理者としての注意義務」を略したもので、守るべき注意は怠らないでくださいという意味です。
部屋を借りている人は借り主として注意しながら生活しなければならず、違反した場合は責任を問われることになります。
違反に該当するケースとは?
善管注意義務違反に該当するケースは、以下のような場合です。
●床に飲み物をこぼしたのに放置し、クッションフロアにカビが発生した
●雨が降っているのに窓を開けっぱなしにして、窓枠が傷んでしまった
●太いネジで壁に穴を開け、下地ごと貼り替えになった
●楽器が禁止の賃貸なのにピアノを置き、床が抜けてしまった
先ほどお話しした結露を放置したことで発生したカビも、善管注意義務違反に該当するので注意してください。
部屋の設備は入居者に対して使う義務が発生しますが、どのような使い方をしてもいいわけではありません。
入居期間中は丁寧に取り扱い、大家さんに返還するまでは善良な管理者としてしっかりと管理していく必要があります。
敷金が返還されない可能性も
敷金とは契約時に支払うもので、家賃未納分の補填や原状回復費用に充当されるお金です。
退去時に余ったぶんは借り主に返還されるため、状態によっては半分近く戻ってくる可能性があります。
しかし善管注意義務を怠り原状回復費用がたくさんかかると、予定していた敷金が返還されないどころか、逆に費用を請求される可能性もあります。
また違反しているか否かは、入居時と退去時の状態を見比べて判断されるのが一般的です。
入居時からあった不具合や劣化は写真や書面に残し、責任がないことを事前に証明しておきましょう。
まとめ
この記事では賃貸物件でなぜ石油ストーブが使用できないのか、その理由と無断使用した場合の問題点、善管注意義務とはどのようなものなのかをお伝えしました。
石油ストーブを無断使用するとさまざまな問題点が発生し、善管注意義務違反に該当する恐れがあります。
そのため禁止の部屋では使用せず、エアコンやホットカーペット、こたつ、電気ストーブなど、ほかの暖房器具を使うのが得策です。
入居者全員が快適に暮らせるよう、しっかりルールを守った上で、素敵な生活をお過ごしください。
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