「不動産って高い買い物だけど、そもそも不動産の価格ってどうやって決めているの?」
こんにちは。1940年創業、台東区・荒川区で地域密着の城北商事不動産部です。
不動産の購入や売却を検討する際に、必ず気になるのが「価格」だと思います。
不動産は個別性が非常に強い資産であるため、売り出されている価格が妥当なのか、その判断が極めて難しいという特徴があります。
最終的な売買価格は売主と買主の交渉により決まりますが、取引を行う際には不動産価格に関する基本的な考え方と評価方法などを把握しておく事をオススメ致します。
まず価格の基本的な考え方を理解する際に重要なことは、全く同じ不動産は存在しないという事です。
同じ構造で同じ築年数でも場所が違えばもちろん価格が異なりますし、同じ地域の土地でも、土地の形、面積、方位、接する道路の状況などによって、価格が大きく変わることもあります。
また、同じ棟のマンションでも、階数、間取り、部屋の方位、管理状況などによって価格は変わりますので、不動産価格の妥当性を判断する場合には、不動産の特徴を踏まえて、物件ごとに検討する必要があります。
なお、不動産市場にも全体的な相場の動きがあります。たとえ同じ不動産であっても、取引する時期が変われば、価格が変わる場合もあります。地価の動向や大手不動産会社の決算月が3月末に集中していたりしますので、3月前後は不動産の取引件数そのものも増えます。
したがって、不動産価格を判断する場合には、市場全体の動向も踏まえて、取引時期に応じて検討する必要があります。もちろん時期にだけこだわって検討していくと、良い物件を逃してしまう場合がございます。
ポイントは不動産を売買する際には物件に見慣れておくことです。所有物件の相場価格等を知りたい方は、地域に詳しい不動産会社に調べてもらうとよろしいかと思います。台東区・荒川区で不動産売却をお考えの方は城北商事不動産部へお気軽にご相談ください。
次に価格の評価方法を把握するという事が重要となります。
売買を目的とした不動産の価格評価を一般的に「価格査定」といいます。
価格査定には様々な手法がありますが、ここでは不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)が発行する「価格査定マニュアル」を参考に、住宅地(土地)とマンションの価格査定のおおまかな仕組みをご紹介したいと思います。
①取引事例比較法
土地やマンションの場合、「取引事例比較法」により査定されることが多いと言われます。
取引事例比較法は、売買しようとする不動産と同じような不動産の取引事例等の価格と比較することで、対象不動産の価格を査定する方法です。
まず、対象不動産と取引事例等となる不動産を比較して、取引事例等の価格をベースに対象不動産のおおむねの価格水準を査定します。その上で、取引時期の違いについて、市場全体の動向を加味して一定の調整を行っています。
また、対象不動産と同じような不動産を取引事例等として選定しなければ、価格の判断を大きく誤ってしまいますので、慎重に取引事例等を選定する必要があります。
【不適切な取引事例の選定例】
下記に不適切な取引事例等の選定例を挙げます。
土地の場合
・住宅地の取引事例等として10年前の事例を選定
・通常の住宅地の取引事例等として住宅地内の大規模な土地を選定
・住宅地の取引事例等として近隣の商業地を選定
マンションの場合
・比較的築浅のマンションの取引事例等として築後数十年のマンションを選定
・ファミリーマンションの取引事例等としてワンルームマンションを選定
・中古マンションの取引事例等として新築マンションを選定
対象不動産の価格査定は、取引事例等との比較と時点修正のみで完結するものではありませんので、その他の要因も加味した上で、最終的な査定価格とする必要があります。価格査定に当たっては、地域の相場に詳しい不動産会社等に調べてもらうとよろしいかと思います。
②原価法
続いて「原価法」についてご紹介させていただきます。
原価法とは、対象不動産の再調達原価を基に不動産を鑑定評価する方法です。
まず、対象の不動産を仮にもう一度建築・造成した場合にいくらになるか(=再調達原価)を割り出します。その後、建築後の経過年数による価値の低下を割引いて(=減価修正)、現在の価値を推定する方法です。
対象不動産が建物または建物と土地の場合、再調達原価の把握と減価修正を適切に行なうことができる場合に有効で、対象不動産が土地のみの場合でも、新しい造成地など再調達原価を適切に求められる場合には適用できます。
例えば、中古住宅を原価法で出してみますと、下記のような公式でざっくりとした価格が出せます。
積算価格=総面積×単価÷耐用年数×残存年数(耐用年数-築年数)
ここでの単価と耐用年数と残存年数は、物件の構造によって異なります。なお、税務で用いる建物の耐用年数は、木造で22年、鉄骨造(厚さ3~4mm)で27年、鉄骨造(厚さ4mm超)で34年、鉄筋コンクリート造で47年となっています。
③収益還元法
最後に「収益還元法」についてご紹介させていただきます。
収益還元法とは、対象不動産が将来生み出すであろうと予測される収益(Ex.家賃収入)と現在価値を総合して試算価格(=収益価格)を求める手法です。
収益還元法は、賃貸アパートや賃貸マンション、貸しビル、貸店舗、貸し倉庫などの事業用不動産の際に用いられることが多い方法です。
ただし、過去の運用履歴とその数字の信頼性が前提となってきますので、対象不動産の販売会社から提出された資料の妥当性等により、多少のずれが生じてきますので、その点は注意が必要です。
なお、収益還元法には直接還元法とDCF法という2種類の方法があります。
◆3種類の評価方法をザックリ一言解説
①取引事例比較法:他の取引事例の情報を元に対象不動産の価格を求める方法
②原価法:再調達価格(=仮にもう一度建築・造成した場合にいくらになるか)を基に対象不動産の価格を求める方法
③収益還元法:将来生み出されるであろう収益(家賃収入などの利益)から対象不動産の価格を求める方法
ここまで不動産の評価方法をご紹介しましたが、不動産の売却を検討している方が気になるのは「実際いくらで売れるのか?」ということではないでしょうか?
実は、不動産の価格についても、「査定価格」「売出価格」「成約価格」という3つの種類の価格があります。
査定価格とは、売却を依頼した不動産会社が近隣の売り出し事例や過去の取引事例などの客観的データを基に適正と思われる金額を算出した価格です。一般的に不動産会社は、3ヵ月程度で成約に至ると想定される価格を提示します。
売出価格とは、実際に不動産の販売を始めるときの価格です。不動産会社が提示した査定価格は売出価格を決めるための参考であり、売出価格を決めるのは売主様自身です。
成約価格とは、実際に売買契約を締結した際の取引価格です。値引きが無ければ売り出し価格がそのまま成約価格となり、値引きがあれば成約価格は売り出し価格よりも下回ります。
このように不動産の価格を決める際には、不動産会社が売主に査定価格を提案する→売主が査定価格を参考に売出価格を決める→売主・買主双方が承諾した成約価格で契約を締結する、といったプロセスを経て査定から実際の取引までが行われます。
今回は不動産価格の決め方について解説してきました。
不動産には全く同じ物件というのは無く個別性が強いため、個々で判断していく必要があります。
そんな中で不動産価格における3種類の評価方法を紹介させて頂きました。
また不動産価格にも種類があり、実際に取引を行っていく際には売主・買主双方が納得できるよう不動産会社が間に入ってサポートするという流れがあります。
ぜひ今後の不動産取引の参考にしてください。
1940年創業、台東区・荒川区で地域密着