『どうしてこの物件はこんなに安いんだろう?』
こんにちは。1940年創業、台東区・荒川区で地域愛着の城北商事不動産部です。
インターネットで物件検索をしていると、相場より安い物件を見つけて、このように感じたことがあるかもしれません。
そこで今回は、価格が安い物件の理由をご紹介していきます。
この知識は家探しを失敗しないために重要となりますので、是非知っておいてください。
価格が安い原因は下記4つのいずれかに当てはまるケースが多いです。
①建ぺい率や容積率のオーバー等(⇒つまり違法建築の建物)
②接道が満たされておらず、そもそも再建築ができないケース
③土地が所有権でなく、借地権のケース
④事件や事故のあった物件
上記①と②は、ほとんどの金融機関で住宅ローンの融資対象にならない物件です。
③も融資してくれる金融機関が限られます。
つまり住宅ローンを使えない物件ですと、現金でしか買えなくなってしまい購入できる買い手がグッと減るので、価格が下がります。
そして今回は、お客様にとって一番意味が難しいであろう③の借地権について、少し深掘りしていきたいと思います。
借地権とは、第三者の土地を借りて、その土地に自己所有の建物を建てるということです。
つまり、第三者(地主さん)から土地を借りる権利を借地権といいます。
そして、土地を借りる代わりに地代を地主さんに払う形となります。
かつての日本では、「家が欲しいけれど土地を購入する資金はない。あの空いている土地に家を建ててもいいかなぁ。もちろん、地代は払うからさ。」と土地所有者に頼んで自己資金で家を建てることが少なくなかったわけです。
このような経緯があり、今では借地権付き建物が出回っているということになります。
・借地権のメリット
Ⅰ.土地(所有権)を購入する場合に比べ、住宅を購入する総額がかなり抑えられる(所有権の60%前後が目安)
Ⅱ.土地の固定資産税がかからない(ただし地主さんに地代を毎月払う必要があります)
つまり、借地権付き物件のメリットを一言でいうと”安く買える”ということです。
・借地権のデメリット
I.住宅ローンのハードルが高い(融資を受けるのが大変)
Ⅱ.流動性が悪い(売りづらい)
一つずつ見ていきましょう。
Ⅰ.住宅ローンのハードルが高い
住宅購入時に土地は購入せず、地主さんから貸して頂くため、購入費用が抑えられるメリットがあるものの、住宅ローンの融資を受けるのが通常に比べて大変です。
一番の理由は、借地権は「借りることができる権利」であり、借地権は所有権とは違い登記ができません。
登記ができないことこそが、融資のハードルが高い理由です。
抵当権の設定、もしくは金融機関の債権(貸したお金を返してもらう権利)の保全がポイントになります。
つまり、お金を貸す側の金融機関の最大のポイントは、抵当権設定の可否です。
【借地権で融資に対応するパターンは3つ】
①借地権の底地に抵当権を設定する
他人のために自分の底地に抵当権を設定させることを許可する地主はいません。親族間の借地権を除き、現実味がありません。
②抵当権の実行時の建物処分と土地利用権について、あらかじめ地主の承諾を得る方法
借地権の物件を取り扱う銀行では、「地主の承諾書」を金融機関の所定の書式で、地主さんに署名捺印してもらうことで対応します。上モノ(建物)の処分を自由にできるように段取りしておきます。滞納の場合の回収方法を明確にしておくわけです。
新規の分譲物件でない借地権物件のローン付けが難しいところですが、分譲物件であればあらかじめその点をクリアしていることがほとんどですので、気にする必要はほとんどありません。
ただし、要領を得た地主さんでないと、この書類での折り合いがつかず、ローンが付きません。
③登記してある借地権(賃借権・地上権)
借地権が登記されており、銀行が乙区に抵当権を設定できる状態の物件です。
上記で3つ紹介しましたが、現実的には②の方法がほとんどです。
Ⅱ.流動性が悪い(売りづらい)
借地権のデメリットのもう一つは、”流動性が悪い”ということです。
上記で述べた通り、借地権付きの物件を取得する際は、住宅ローンが一般的な住宅と比べると借りにくいです。
つまり、自分が買う時にも買いづらいということは、当然売るときも売りづらいということになります。
もし、自分が引っ越さざるを得ない、住宅を手放さなくてはならない状況になった際に、すぐに売ることができないというリスクがあります。
そのため、借地権付きの物件を購入する場合は、そこらへんをしっかり考えておく必要があります。
不動産取引を失敗しないためには、価格の相場を知ることが重要です。
ただし、単に費用が安いから”この物件は買いだ”と安易に考えず、安くなっている理由は何故なのかを考えるようにしてください。
家は高い買い物なので、将来のことも考えてじっくり検討しましょう。
何か分からないことがございましたら、城北商事不動産部へお気軽にご相談ください。