東京23区のひとつ、荒川区。
下町風情が残り、東京のなかでもゆったりとした時間を過ごせるこのエリアは、23区内でゆったりと暮らしたい方におすすめといえるでしょう。
そんな荒川区では、昨今世界中で問題となっている食品ロスを削減するために、積極的な取り組みをしていることをご存じですか?
そこで今回は、荒川区による食品ロス(フードロス)対策について紹介します。
荒川区民だけではなく、誰にでもあるこのようなできごとは、食品ロスのひとつの原因となるでしょう。
ここでは、食品ロスの状況と理由について解説します。
<食品ロスの状況>
農林水産省および環境省による、平成29年度の統計によると、日本では年間2,550万トンの食品廃棄物などが出されています。
このうち、まだ食べられるのに廃棄される食品、すなわち食品ロスは612万トンにもなり、この量は、国民一人当たりに換算すると、茶碗約1杯ぶんとなり、約半分は家庭から出ているとされています。
荒川区が毎年実施している、ごみ組成調査においても、開封されていない食品が多数出てきており、大きな課題として取り上げられているのです。
<食品ロスが起こる理由>
家庭で起こりうる食品ロスの理由としては、
・食べきれない量の食品を買ってしまう
・必要以上の量を調理しすぎてしまう
・食べ残し
このようなものがあり、食べられることなく食品が捨てられてしまいます。
また、スーパーなどでは恵方巻きなどの行事の食品を、売り切れを防ぐために多く作りすぎてしまうことが原因で、多大な食品ロスになると問題になりました。
自分ひとりなら捨てても大丈夫…このような気持ちを持つ人が多数いると、1年でこのような膨大な量の食品ロスが生まれてしまうのです。
<食品ロスの削減が必要な理由>
日本国内ではこれだけの食品ロスがあるのにもかかわらず、世界には飢餓に苦しむ人々がたくさんいるのが現状です。
そして、食料の生産・輸入には、たくさんの水や資源が使用され、食品を捨ててしまうことは、資源を無駄にしていることにもつながり、地球環境に配慮するために食品ロスを軽減していかなければいけません。
また、食品ロスは生ごみとして焼却処理されますが、水分が多く燃えにくいため、燃料を使用することがあり、地球環境への負荷が多くなることも、この理由のひとつとなります。
各自治体では食品ロスを少しでも削減するために、さまざまな取り組みが行われています。
ここからは、荒川区の食品ロス削減施策である、「荒川もったいない大作戦」の取り組み内容について見ていきましょう。
<あら!もったいない協力店の募集>
荒川区では、食品ロス削減に取り組む小売業・飲食店などを「あら!もったいない協力店」として募集しています。
小売業・飲食店用にそれぞれに協力店に対する取り組み項目が決められており、以下の5つのなかで1つ以上を実践することになっています。
■小売業
1.ばら売り・量り売り・少量パックでの販売
2.消費期限・賞味期限間近の商品を割引して提供
3.ポスター・チラシ・店内放送による食品ロス削減の啓発
4.計画的な食材の購入、食材を使い切る調理の工夫
5.その他食品ロスを削減するための取り組み(過剰在庫のフードバンクへの寄付、不揃い品など規格外品の販売など)
■飲食店
1.食べ残しをしないために、料理の量を調整する客への積極的対応
2.宴会時に食品ロスを削減するための働きかけ(幹事などに食べきるための声かけ
3.小盛りサイズの提供など、食品ロス削減への啓発
4.計画的な食材の購入、食材を使い切る調理の工夫
5.その他食品ロス削減のための取り組み(最後まで食べやすい料理提供などの工夫
■荒川区|「あら!もったいない協力店」の店舗検索
<フードドライブ活動>
フードドライブとは、家庭で使用せずに眠っている食品を持ち寄って、食料の確保が困難な人に提供をするための活動です。
荒川区では、フードドライブをさまざまなイベントで実施している他、荒川区内の3か所に設置している常設窓口でも受け付けています。
対象となる食品は、
・お米(2か年以内に国内で収穫したもの)
・未開封で賞味期限が2ヶ月以上ある食品(缶詰、レトルト・インスタント・フリーズドライ食品など)
となり、生鮮・冷蔵・冷凍食品は対象外です。
荒川区内の常設窓口は、以下のページより確認してみてくださいね。
■荒川区|フードドライブへのご協力をお願いします
<もったいないレシピの募集とレシピ集>
荒川区では、食品ロスを削減するために、あまった食材を捨てずに有効利用できるレシピを「もったいないレシピ」として募集しています。
もったいないレシピを応募する方法は、氏名・連絡先・レシピの材料と作り方・食品ロス軽減のための工夫を記入して、郵便もしくはFAXで応募。
食品ロスを減らす工夫例としては、
・食材の余りを少なくするために、数回分まとめて作り置きしておく
・柑橘類の皮をジャムの材料として活用する
・その日の家族の人数を確認して、食べきれるようだけを作る
・野菜はなるべく皮ごと使用する
といったものがあり、レシピの参考にするとよいでしょう。
もったいないレシピの募集要項は以下のページから確認できます。
■荒川区|もったいないレシピを募集します
現在、webサイトには5つのレシピが掲載されているので、以下のwebサイトからチェックできます。
■荒川区|もったいないレシピ集
子どもに対して「もったいないから食べなさい!」と言っても、なかなか食べてくれずに悩んでいるといった悩みを持つ親御さんも多いのではないでしょうか?
食品の好き嫌いをしてしまう子どもや、家庭で食育をしたい保護者向けに、食品ロス削減のために荒川区がリーフレットを提供しています。
イラストが描かれているリーフレットを使用すれば、食品ロスについてより一層理解が深まり、好き嫌いが減るかもしれません。
<大人向け|食品ロス削減リーフレット>
荒川区のwebサイトでは、食品ロスを軽減するための資料として、大人向けにリーフレットが配布されています。
このリーフレットには、
・食品ロスの概要
・食品ロスに関する意識調査の結果
・買い物で食品ロスを削減する方法
・食品の保存から見る食品ロスを削減する方法
・食品ロスが削減できるレシピ
これらの情報が掲載されており、豆知識を知ることもできるため、ちょっとした節約にもつながるでしょう。
リーフレットのPDFは以下のページからダウンロードできるので、ぜひ参考にしてみてください。
■荒川区|大人向け 食品ロス削減リーフレット
<小学生向け|食品ロス削減リーフレット>
小学生向けの食品ロス削減リーフレットも準備されており、家庭で親子一緒に食品ロス削減について学べます。
リーフレットには、
・食品ロスの概要
・食品ロスが発生する理由
・食品ロスを削減するための方法
・「もったいない」ことについて
といったことが書かれており、可愛いイラストとわかりやすい文章で書かれているため、低学年の子にもおすすめです。
家庭で使用する際には、以下のページのPDFをダウンロードして印刷して使用してみてください。
■荒川区|小学生向け 食品ロス削減リーフレット
<保育園・幼稚園向け紙芝居もある>
荒川もったいない大作戦の取り組みのなかには、長野県松本市が作成した、食品ロス削減紙芝居「みんなでおいしくいただきます お皿ピカピカ大作戦」を、荒川区バージョンにした作品があります。
この紙芝居は、区内の幼稚園・保育園に配布しており、食育の資料として使用されました。
Webサイトにはこの紙芝居のあらすじとPDFデータが掲載されているので、気になる方はアクセスしてみるとよいでしょう。
■荒川区|食品ロス削減啓発用紙芝居を作成しました
「もったいない」の言葉は、日本だけではなく、「MOTTAINAI」と表記され、世界から注目が集まっています。
自分だけなら捨てても構わないと思うこともあるかもしれませんが、それが自分だけではなく、多くの人がそのような考え方になってしまうと、昨今の食品ロスのような大きな問題となるのです。
野菜などの食材を余すことなく使用するのは難しいことかもしれませんが、食べきれない量を買わない、必要なぶんだけ購入する、といったことなら誰でも始められるでしょう。