公益財団法人「台東区産業振興事業団」とは、台東区が設立した公益財団法人で、区内における中小企業の経営サポートや勤労者福祉を通して、企業を支援する団体です。
区内産業の振興や地域社会の発展に貢献しており、経営者・労働者はもちろん、今後起業を検討している方が利用できます。
2020年度の助成制度の一部は、すでに募集が終了しているものもありますが、経営者や企業希望者はサポートや助成制度をチェックしておくとよいでしょう。
そこで今回は、台東区産業振興事業団による助成制度の概要と活動内容について紹介します。
台東区産業振興事業団の助成制度は18種類あり、開発支援から外国人をおもてなしするための研修など、さまざまなジャンルの制度が設けられています。
ここでは、助成制度のなかでも、特に注目しておきたいものをピックアップしてみました。
<台東区から新しいものを生み出す支援>
18種類ある助成制度のなかに、新製品・新技術開発支援と、新販路開拓支援といったものがあり、これらは台東区から新たな商品やサービスを提供するための支援です。
新製品・新技術開発支援では、今までにないような新製品や、先駆的な技術を開発する場合など、大学などの機関と共同開発・研究のための一部費用が助成されます。
2020年度の募集は6月時点ですでに募集終了しておりますが、経費の2分の1以内、100万円まで助成くれるため、ベンチャー企業などにとって嬉しい制度です。
そして、新販路開拓支援では、自社製品もしくは自社で取り扱う製品を、海外市場など新たな販路開拓をする時、販売手段を構築する際の一部経費が助成されます。
対象となるのは、創業後1年以上の台東区内の中小企業で、経費の2分の1以内50万円まで、海外への販路開拓は100万円までが助成されます。
この2つの制度は、新しいものを生み出したい前向きな力を応援する強力な支援となるでしょう。
<オンラインショップ出店・開設支援>
6月時点ですでに募集が終了していますが、新型コロナウイルス感染症関連の経済対策として、オンラインショップ出店・開設支援が設けられました。
これは、新たな販路開拓を図るために、インターネット通販サイトで初めて出店する場合や、自社のオンラインショップを新規開設に伴う経費を一部助成してくれます。
対象となる企業は、以下3つを満たしている中小企業です。
・区内に本店所在地(法人)事業所(個人事業主)がある
・区内に営業の本拠を有する
・2020年2月以降任意の1カ月の売上高と、前年同月1カ月の売上高を比較して5%以上減少している
自社製品を、ユーザーがスマホ・パソコンから購入できるようにしたい飲食店や小売業の方にとって、嬉しい制度といえるでしょう。
<外国語・外国人にまつわる支援>
18ある制度のうち、外国人観光客や外国語にまつわる助成は、
・外国語ホームページ新規作成費用支援
・外国語メニュー・パンフレット等作製支援
・外国人おもてなし講習支援
・翻訳機器等導入支援
の4つがあり、自分の経営する店舗に訪れた外国人観光客を、もてなしたい企業・経営者のための支援です。
外国語に対応したwebサイトを作成すれば、今まで以上に外国人からの関心が高まり、結果的に売り上げアップが期待できます。
東京オリンピック・パラリンピック開催予定である東京都は、インバウンドの需要が高く、今後さらに外国人へのおもてなしが必要となることでしょう。
台東区産業振興事業団は、台東区内外におけるあらゆるビジネスのサポートを行っています。
ここでは、中小企業の新たなビジネスチャンスの可能性が広がる、「ビジネスチャンス・ナビ2020」の概要について見ていきましょう。
<ビジネスチャンス・ナビとは?>
ビジネスチャンス・ナビ2020とは、東京2020大会などを契機とする、民間の入札・調達情報を一元化した情報ポータルサイトです。
このwebサイトは、受発注のマッチングを支援するサービスを提供しており、中小企業の受注機会の拡大を目的とし、台東区内外にあるあらゆる企業のビジネスチャンスとなるでしょう。
日本全国の事業者が利用可能で、東京2020組織委員会の電子入札に参加できる唯一のサイトです。
多数の企業のなかからビジネスパートナーの開拓が可能であり、自分たちの得意とする新たな仕事が受注できるかもしれませんね。
<ビジネスチャンス・ナビ2020への登録>
ビジネスチャンス・ナビ2020で仕事の受注・発注をするには、webサイト上での登録が必要です。
まず、ビジネスチャンス・ナビ2020へアクセスし、基本的な企業情報や担当者の問い合わせ先を入力します。
登録後、ビジネスチャンス・ナビの事務局で企業の審査が行われて、審査が完了すると登録メールアドレスに登録完了のお知らせが送信されます。
登録完了後から、ビジネスチャンス・ナビ2020が利用可能であり、自社のPR情報を入力しておくと、新たなビジネスパートナーの開拓につながるでしょう。
<台東区産業振興事業団とビジネスチャンス・ナビのつながり>
台東区産業振興事業団は、ビジネスチャンス・ナビ2020をはじめとする情報交換会や交流会の場を提供しています。
経営者同士のつながりや、新たなビジネスパートナーを見つける場の提供、企業検索サイトの運営といった、企業同士や人同士をつなげることは事業団の役目といえるでしょう。
台東区産業振興事業団による中小企業・異業種交流会には、
・ビジネス交流フェスタ
・ビジネス交流フォーラム
・TAITO SAMBA(たいとうさんば)
といったものがあるので、台東区内の経営者はぜひ参加してみてくださいね。
台東区産業事業団では、研修センターや浅草ものづくり工房などの施設と連携しています。
ここでは、研修センターの概要と開催されている講座と教室、付随する資料館について見ていきましょう。
<研修センター・浅草ものづくり工房の事業概要>
研修センターは台東区民や区内の中小企業、働く人たちのための施設です。
台東区内の企業で働く人たちのための、各種講座や教室が開催されているほか、教養文化、体力増進などのグループ活動、会議や研修会といったことに利用されています。
<研修センター・浅草ものづくり工房の講座・教室>
企業向けに開催されるおもな講座は、以下です。
・ファッション、マーケティング講座(外国のファッション情報)
・ファッションデザイン画講座
・CAD入門講座、ステップアップ講座、応用講座
・工作機械など個別技術講習
区民や区内の企業で働いている方向けには、このような教室が開催されています。
・英会話、中国語などの語学教室
・革工芸教室、リメイク・染色教室
・太極拳教室
これらの教室や講座に参加したい方は、台東区産業研修センターへ相談してみて下さいね。
<産業研修センターの資料館>
研修センター・浅草ものづくり工房の資料館は、台東区での産業が盛んな皮革製品にまつわる歴史や文化向上に向けた施設です。
内部は資料館となっており、江戸時代から今までの皮革製品を集めて展示しており、台東区を中心とした皮革にまつわる歴史が学べるでしょう。
資料館は、9:00~17:00までの営業、月曜日・祝日・年末年始が定休日で見学が無料です。
公益財団法人 台東区産業振興事業団では、区内企業の支援と助成、企業同士のマッチングなど、ビジネスであらゆる側面からサポートをしていることがわかりました。
中小企業だけではなく、これから起業する方やベンチャー企業にとっても利用できる支援制度は設けられており、事業において不安なことはバックアップしてくれるでしょう。
さらに、台東区内の研修センターでは文化や歴史を継承するための活動も支援しており、新しい時代と台東区の歴史が融合した、新たなものが生み出されるかもしれません。
今回ご紹介したサポートはごく一部です。