一葉記念館は、明治時代の女流作家である樋口一葉の業績を後世に伝える目的で作られた施設です。
今回は、台東区竜泉にある「一葉記念館」についてご紹介していきます。
◆一葉記念館とは?
記念館がある台東区は古くは下谷龍泉寺町と呼ばれており、樋口一葉が生活をした場所として知られています。
その縁もあって昭和20年代から30年代にかけて地元の有志で結成された一葉協賛会によって記念碑や旧居跡碑が建立され、最後の大事業として昭和36年5月12日に一葉記念館が作られました。
これは地元住民の熱心な働きかけが実現したもので、必要な経費は有志の積立金や寄付などでまかなわれています。
女流作家にスポットを当てた記念館はそれ以前にも存在していましたが、単独としては国内初のものです。
その後、樋口一葉が五千円札の肖像に選ばれたことをきっかけに記念館はリニューアルされることになります。
改めてオープンしたのは、平成18年のことでした。
◆一葉記念館の館内
館内は地下1階から地上3階までの4階構造となっており、3つの展示室を有します。
また、ライブラリーやギャラリー、グッズコーナーなど見所も満載です。
主な収蔵品として、彼女の代表作である「たけくらべ」の未定稿が挙げられます。
これは下書き原稿の一部にあたる22枚の原稿で、文芸誌「文學界」の第26号に掲載されたものです。
実際に発表された内容と異なる部分もあるため、試作であったと考えられています。
また、研究者にとっては興味深い仕入帳も収蔵されています。
小説家として優れた才能を持ちながらも、文筆業で生計を立てられなかった彼女が手を出したのが駄菓子屋の経営でした。
これはこの際に使用された仕入れ帳です。
明治26年当時の物価を知る上でも貴重な資料とされており、彼女の生活ぶりもここから窺い知ることができます。
彼女は小説だけでなく、短歌の才能にも恵まれていました。
歌塾「萩の舎」に入門して初めて詠んだ歌を記した短冊「月前柳」も記念館に収蔵されています。
先に入塾した先輩を差し置いて最高点を取ったと伝えられている力作です。
その他、複製ではありますが一流の指物師によって再現された彼女の文机も見ることができます。
◆イベントやグッズについて
記念館では、樋口一葉に関連する企画展や専門家を講師に招いたワークショップなどが随時開催されています。
講座によっては事前の申し込みが必要になるため、参加を希望する際には確認してからの来館がおすすめです。
ミュージアムショップにはオリジナルのレターセットやポストカードなど様々な一葉グッズが販売されているので、記念館を訪れた思い出になることでしょう。
【施設情報】
店名:一葉記念館
住所:台東区竜泉3丁目18−4
アクセス:東京メトロ日比谷線入谷駅3番出口から徒歩12分・東京メトロ日比谷線三ノ輪駅1a出口から徒歩7分
TEL: 03-3873-0004
開館時間:9:00~16:30
休館日:月曜日
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