台東区浅草出身、日本の戦後を代表する時代小説・歴史小説作家である池波正太郎。
下町の人々を代表する視点で作品を描いた、このゆかりの地に池波家から寄贈されたさまざまな資料を収蔵し、その一部を常時公開展示しているのが「池波正太郎記念文庫」です。
今回は、この池波正太郎記念文庫について紹介します。
池波正太郎の業績や作品の世界を広く伝えるため2001年9月に池波正太郎記念文庫は開設しました。
大衆文学の保存と発展を目的としていることから、池波正太郎が著作した作品を中心に約1万点ほどの時代小説を収蔵しています。
このうち、3千点は常時展示されており、中里介山が自ら植字と校正、印刷まで手がけた自家版「大菩薩峠」といった貴重な資料も含まれています。
時代劇の舞台になっている江戸時代の切絵図や名所案内といった各種資料も閲覧可能です。
これらの資料は閲覧のみ可能で、コピーと貸出は禁止となっています。
また、直筆原稿を始めとして、直筆の絵画、執筆時に参考とした江戸時代の資料などが収められている点が特徴です。
直筆絵画は「ディジョンの芥子屋」「チューリップ」「レストラン・クーポール」といったものを楽しめます。
池波正太郎の遺族から寄贈された直筆原稿や直筆絵画については電子データ化されており、閲覧と検索が可能となっています。
彼が実際に執筆した書斎が復元されているコーナーもあり、当時の雰囲気を感じることができるでしょう。
代表作品となっている鬼平犯科帳や剣客商売、仕掛人・藤枝梅安の専門コーナーも用意されています。
愛用品コーナーでは、作品を執筆した万年筆の他、パイプや帽子といった日常的に使用したものを中心に展示されてます。
池波正太郎は庶民的な面も覗かせており、特に美食家の顔も見せていたことで知られています。
エッセイコーナーでは、池波正太郎が愛したグルメや映画、芝居や旅などのエッセイを見ることができます。
公式ホームページで確認できる定期的な企画展示のコーナーも用意されていますが、それ以外にもイベントが随時開催されることがあります。
シンポジウムや様々な講座が中心で、主に池波正太郎の作品と関連したものや本人に関する内容がメインとなっています。
この他、文学散歩と称するフィールドワークイベントも楽しむことができます。
それ以外に、池波正太郎関連のグッズも販売されており、ガイドマップや目録などの書籍類の他、クリアファイルやポストカードなどを購入できます。
彼の絵画をモチーフとした扇子や手ぬぐいといった実用品も販売されています。
様々な調理道具や食器が手に入る「かっぱ橋道具街通り」に沿った場所にある池波正太郎記念文庫は、鬼平犯科帳などに代表される時代劇で有名な池波正太郎に関する資料が展示されています。
首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスの浅草駅から徒歩5分の場所で、台東区生涯学習センター1階台東区立中央図書館内に併設されています。
江戸の下町を愛した池波ワールドを堪能してみてください。
【施設情報】
店名:池波正太郎記念文庫
住所:台東区西浅草3丁目25−16 中央図書館
アクセス:東京メトロ日比谷線入谷駅1番出口から徒歩7分・首都圏新都市鉄道つくばEX浅草駅A出口から徒歩4分
TEL: 03-5246-5915
開館時間:月曜~土曜:9時~20時/日曜・祝日:9時~17時
休館日:毎月、第3木曜・年末年始