賃貸契約のトラブルにありがちなのが、敷金で修繕するべき範囲がどこまでなのかという部分です。
中には、高額な費用を請求されるケースもありますから、経年劣化の扱いや、国土交通省のガイドラインについて知っておくと良いですね。
■退去時にどこまでが“原状回復”になる?
入居したときと同じ状態にして退去するのは当然という考えがありますが、賃貸契約では数年以上暮らしている場合もあり、経年劣化(=時の経過によって価値が減少すること)については責任がないとされています。
国土交通省のガイドラインでも、この点に触れており、大家さんが壁紙の日焼けでクロスの張替えが必要だと感じても、入居者に責任はないと言うことです。
経年劣化に見合った価値の回復ということですから、新築物件を退去するときに、大家さんがすべて新品にする入れ替え費用を請求するのは、過剰請求です。
ただ大家さんからすると、リフォームしなければ次の入居者が決まらないなどの事情がありますから、家賃に上乗せするか、特約と言うかたちで負担をお願いする場合があります。
契約書をよく読んで、納得できない特約が含まれていないか確かめておきましょう。
■経年劣化と原状回復費用の範囲
知っておきたい経年劣化の例を上げてみましょう。
カーペットやクロスは6年で減価償却と考えます。
6年使用していれば、価値は1円ということですから、古ぼけているたり日焼けや家具の跡が残る程度では、修繕費を持つ必要はありません。
フローリングに関しても、常識的に考えて普通に暮らしていて出来るスレなどがあっても、一部交換であれば見栄えが悪く、部屋の価値を高めることにもなりません。
フローリングの全面張替えとなれば、よほどの過失がなければ請求されないレベルです。
なお、畳や襖は減価償却ではなく、消耗品という考え方になりますから、破れや汚れがあれば費用を請求されるでしょう。
また、タバコのヤニについては、不注意による損失として認められた事例もあります。
タバコを日常的に吸っている人にとっては経年劣化のイメージですが、日常生活に必ずしも必要ではないので、ヤニで汚れや臭いがついた場合は責任が出てきます。
■敷金でトラブルにあわないためには?
・契約時に特約などの確認をしっかりしておく。
・入居時、退去時に大家や管理会社に立ちあってもらい、現状確認をする。
・中立の立場で契約を仲介してくれる業者を利用する。
敷金トラブルで多いのは、「預かり金だと説明されたのに退去時に返還されなかった」というものです。
認識の行き違いが起こらないように、信頼できる仲介業者を選びたいですね。