旧岩崎邸庭園は、三菱財閥を創設した岩崎弥太郎の長男、岩崎久彌の本邸として建てられました。
当時は約1万5,000坪の敷地が広がり、およそ20棟もの建物が並ぶ広大な邸宅でしたが、現在残っているのはその3分の1の敷地と洋館、撞球室(ビリヤード場)、和館の3棟と庭園のみとなっています。
都立公園として一般公開されており、年末年始を除き通年開園しています。
開園時間は9時から17時、料金は一般400円、65歳以上は200円です。
都民の憩いの場としてだけでなく、全国のみならず海外からの観光客も訪れる人気の観光スポットです。
旧岩崎邸庭園は、鹿鳴館や上野博物館、ニコライ堂を設計した英国人建築家、ジョサイア・コンドルが手がけました。
現存するジョサイア・コンドルの作品の中ではニコライ堂に次いで最古の建物で、細部にまでこだわった華やかな装飾が魅力です。
邸宅は17世紀英国のジャコビアン様式をベースにしており、ルネサンスやイスラムのモチーフ、カントリーハウスのイメージなど様々な様式を織り交ぜてデザインされています。
同時期の西洋建築にはない繊細で華やかなデザインは見どころも多く、見応えも十分です。
洋館、大広間、撞球室(ビリヤード場)の3棟ならびに宅地は、国の需要文化財にも指定されており、明治期の邸宅事情を知る貴重な資料としての役割も果たしています。
旧岩崎邸庭園は、その印象的で美しい外観からドラマのロケ地になることも多く、訪れたことはなくともその姿を目にしたことがあるという人もいるでしょう。
都立公園でもあるため、誰でも気軽に訪れることができます。
憧れのドラマの舞台に実際に足を運び、ドラマの雰囲気を肌で感じることも叶うでしょう。
細部まで作り込まれた彫刻的な装飾が特徴の外観をはじめ、華麗な壁紙や内装など、意匠を凝らした上品で華やかな雰囲気を堪能できます。
旧岩崎邸庭園の見どころは、主に4つ挙げられます。
1つめは、洋館です。
木造2階建て、地下室付きの洋館は、旧岩崎邸庭園のシンボルとも言えるもので、ジャコビアン様式の見事な装飾が特徴です。
ステンドグラスが美しい玄関や、金唐革紙の壁紙、イスラム風のモチーフ、シルクの日本刺繍、ベランダに敷き詰められた英国ミントン社製のタイルなど、時を超えてなお輝き続ける美しさに圧倒されるでしょう。
2つめの見どころは、撞球室(ビリヤード場)です。
当時の日本では珍しい、スイスの山小屋風デザインが特徴の撞球室(ビリヤード場)は、校倉造風の木材の組み方や、刻みの入った柱など、随所に遊び心が感じられます。
洋館とは地下通路で繋がっています。
3つめの見どころは、和館です。
洋館とは渡り廊下で繋がっており、洋館が迎賓館としての役割を持つのに対し、和館は邸に住む人たちのプライベートゾーンとしての役割を担っていました。
そのため、落ち着いた趣のある内装が特徴です。設計は大工の大河喜十郎と言われ、書院造をベースにデザインされています。
岩崎家の家紋である三階菱の意匠が各所に見られるのも特徴でしょう。
日本画家の橋本雅邦が下絵を描いたと言われる障壁画が床の間や襖に残っており、芸術が生活の中に溶け込んだ贅沢な空間を満喫できます。
4つめの見どころは、芝庭です。
庭園は、植木職人の八代目・小川治兵衛の手によるもので、庭石、灯籠、築山などが配置され、和洋併置式の庭園として作られました。
見どころは、庭園南西部にある巨大な石灯籠や和館の巨大な沓脱石といった庭石です。
また、洋の東西で庭と館がどのような関係性を持つか、その違いを感じられるスポットでもあります。
西洋では庭から見える館の佇まいを重視する一方、日本では館から眺める庭の姿を重視します。
こうした日本と西洋の庭に対する捉え方の違いを意識できるのも、旧岩崎邸庭園ならではの魅力でしょう。
◆旧岩崎邸庭園へのアクセスは?周辺情報も紹介
旧岩崎邸庭園は、東京都台東区池之端1丁目にあります。
最寄り駅は、東京メトロ千代田線「湯島」駅で、駅からは徒歩3分です。
他にも東京メトロ銀座線「上野広小路」駅、都営地下鉄大江戸線「上野御徒町」駅からいずれも徒歩10分、JR山手線・京浜東北線「御徒町」駅から徒歩15分でアクセスできます。
複数路線が使用できる、非常にアクセスしやすい立地にあると言えるでしょう。
周辺には上野公園や不忍池、湯島天神などの人気観光スポットがあります。
◆旧岩崎邸庭園で時代を超えた美しさに触れよう
今もなお往時の雰囲気そのままに残る、旧岩崎邸庭園。
歴史的建造物が好きな人はもちろん、建築や芸術といった分野に興味がある人や、自然が好きな人、落ち着いた雰囲気の場所が好きな人も楽しめる場所です。
園内にはお茶や茶菓子を楽しめるカフェレストランもあるため、休憩しながらゆっくり巡ってみてはいかがでしょうか。
【施設情報】
施設名:旧岩崎邸庭園
所在:東京都台東区池之端1丁目3-45
アクセス:東京メトロ千代田線「湯島」駅から徒歩3分・東京メトロ銀座線「上野広小路」駅から徒歩10分・都営地下鉄大江戸線「上野御徒町」駅から徒歩10分・JR山手線、京浜東北線「御徒町」駅から徒歩15分
電話番号:03-3823-8340
開園時間:午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで)
休園日:年末・年始(12月29日~翌年1月1日まで)
1940年創業、台東区・荒川区で地域密着