最初にマイホーム購入の基本的な流れについて解説します。
基本的な流れは、建売住宅と新築マンション、中古住宅(戸建てもマンションも含む)で共通する流れです。
建売住宅と新築マンション、中古住宅に共通する流れを示すと、下図のようになります。
【資金計画】
マイホームの購入では、最初に資金計画を立てます。
資金計画とは、住宅ローンを無理のない範囲で返済できる金額を把握し、予算を決定していくことです。
無理のない返済金額は、返済比率(返済負担率)を元に決定します。
返済比率とは、額面収入に対する年間返済額の割合のことです。
理想的な返済比率は20%以内とされており、20%以内が無理な場合には少なくとも25%以内に留めることが適切とされています。
また、資金計画の中では、親から支援を受けることができないかといったことも検討しておきます。
自己資金を増やせれば、返済比率を低く抑えることができる点がメリットです。
【銀行の情報収集】
住宅ローンに関連する銀行の情報収集も行っておきます。
具体的には、どの銀行の金利が安いか等の情報を集めておきます。
金利には店頭金利と適用金利の2種類があります。
店頭金利とは銀行が表向きに提示している金利のことであり、適用金利は実際に適用される金利のことです。
適用金利は、店頭金利よりも低くなることが一般的です。
適用金利は実際に仮審査を受けてみないと、どの程度になるかわかりません。
そのため、最初の段階では店頭金利で金利の安い銀行を2~3社ピックアップしておき、仮審査を通してどの銀行にするかを最終的に決めることをおすすめします。
また、変動金利と固定金利の割合を検討しておくことも望ましいです。
変動金利は一般的には固定金利よりも金利が低いというメリットがありますが、将来、金利が上がるリスクがあるというデメリットがあります。
一方で、固定金利は将来も金利が上がらないというメリットがありますが、変動金利よりも金利が高い点がデメリットです。
双方はメリットとデメリットを補完しあう関係にあるため、変動金利と固定金利をミックスさせリスク分散することが適切とされています。
【物件の情報収集・現地見学】
インターネット等で物件の情報収集を行い、気になる物件が見つかったら現地見学に行きます。
現地見学は、広告を掲出している不動産会社に問い合わせて行います。
マイホーム購入で納得感を得るためにも、現地見学は複数の家を見ることが望ましいです。
【住宅ローンの事前申し込み】
購入したい物件が決まったら、住宅ローンの事前申し込み(仮審査)を行います。
仮審査に通過しておけば、本審査も基本的に通過できます。
なぜこのタイミングで仮審査が必要かというと、住宅ローンの本審査は売買契約締結後でないとできないからです。
住宅ローンの本審査が売買契約後となるのは、売買契約書等を銀行に提出する必要があることが理由となります。
ただし、買主としては住宅ローンの審査が通るかどうかわからない段階で売買契約を締結するのは不安です。
そのため、売買契約を締結する前に仮審査を通しておくことが一般的となっています。
【物件の売買契約の締結】
住宅ローンの仮審査が通ったら、いよいよ売買契約の締結です。
厳密には、買主に対しては売買契約の締結前に不動産会社から重要事項の説明が行われます。
重要事項の説明を受け、特に問題がなければ売買契約を締結します。
重要事項の説明は売買契約の当日に行われることがよくありますが、書面は事前に渡されてあらかじめ内容を確認できるケースも多いです。
売買契約時は、買主は契約が成立した証として手付金を支払います。
手付金は新築物件の場合は物件価格の5%程度、中古物件の場合は物件価格の10%が相場です。
新築物件の場合、手付金は事前に指定されて口座に振り込むことがよくあります。
売買契約は住宅ローンが実行される前ですので、手付金は自己資金の中から支払わなければならない点がポイントです。
手付金は、引渡までの間に契約解除をしたいときの違約金の役割も果たします。
買主は手付金を放棄することで契約解除ができ、売主は手付金の倍額を買主に払うことで契約解除をすることが可能です。
なお、中古物件を購入する場合には、売買契約時に仲介手数料の50%を不動産会社に対して支払います。
【住宅ローンの本申し込み、審査・承認、金銭消費貸借契約の締結】
売買契約を締結したら、住宅ローンの本申し込みを行い、審査を経て承認されたら、銀行と金銭消費貸借契約を締結します。
金銭消費貸借契約とは、住宅ローンの契約のことです。
中古住宅の購入では、売買契約から引渡の間が1ヶ月程度となることから、売買契約後は速やかに住宅ローンの本申し込みをする必要があります。
【引渡(残代金支払い)・融資実行】
引渡日は、手付金を除く残代金を支払うことで物件の所有権が売主から買主へ移転します。
住宅ローンは引渡し日に実行されます。
引渡時は物件の残代金だけでなく、固定資産税の精算金等の金銭の支払いも発生します。
固定資産税の精算金とは、引渡日以降の固定資産税を実質的に買主負担とするために、引渡日以降の固定資産税を日割り計算したものを売主に対して支払う金銭のことです。
また、中古物件を購入する場合には、引渡時に仲介手数料の残りの50%を不動産会社に対して支払います。
【引っ越し】
引渡後であれば、いつでも引っ越しをすることができます。
登録免許税の減免を受けるためには、原則として2週間以内に引っ越すことが必要です。
【住宅ローン控除の確定申告】
マイホームの購入後、住宅ローン控除の適用を受けるには確定申告が必要です。
住宅ローン控除とは、年末の借入残高に一定率を乗じた金額を所得税から控除できる制度になります。
住宅ローン控除を受けるためには、サラリーマンであっても初年度だけは確定申告が必要です。
サラリーマンの場合、2年目以降の確定申告は不要となります。
確定申告は、原則として住宅を購入した翌年の2月16日から3月15日の間に行います。