東京23区の東北部に位置する荒川区は、23区内でも2番目に小さな面積であることが特徴です。
荒川区では、以前より都市計画が推進されており、福祉サービスの充実や地域活性化に向けた取り組みが行われています。
そこで今回は、荒川区における都市計画の概要と将来像、荒川区の人口・傾向などを紹介します。
そもそも都市計画とは・・
都市の将来あるべき姿を想定し、そのために必要な規制、誘導、整備を行い、都市を適正に発展させようとする方法や手段のことである。
-wikipedia-
荒川区では、区民のニーズに応えるべく、防災や治安対策、子育て・教育、福祉など多岐にわたる施策を展開しています。
平成19年3月に荒川区基本構想を策定し、おおむね20年後に目指すべき将来像である「幸福実感都市あらかわ」を掲げ、分野別に6つの都市像を示しました。
そしてこの基本構想を実現するため、前期を平成19年度(2007年)から平成28年度(2016年度)、後期を平成29年度(2017年度)から令和8年度(2026年)の約10年で区切った基本計画を策定し、中長期的な視点を持って一つの方向に進んでいくための道標としています。
ここでは、荒川区が目指す将来像・都市のイメージについて解説します。
<荒川区の将来像!目指す都市のイメージ>
荒川区がめざす将来像「幸福実感都市あらかわ」では、以下の6つの都市像が示されています。
1.生涯健康都市
生涯健康であり、高齢者障害者が安心して暮らせる社会の実現
2.子育て教育都市
子育てがしやすく、心豊かにたくましく生きる子どもの育成・生涯学習社会の形成
3.産業革新都市
経済の活性化と、人が集う魅力のあるまちづくり
4.環境先進都市
区民で地球環境を守りながら、快適に過ごせる生活環境の形成
5.文化創造都市
伝統文化の継承、都市間交流の推進、地域コミュニティの形成
6.安全安心都市
防災・防犯性の高いまちづくりと、利便性の高い都市基盤の整備
これらの都市像実現に向けて、区民の区政参画と連携効果、積極的な情報発信などが推進されています。
<新たな基本構想が策定された背景とは>
そもそも平成19年に新たな荒川区基本構想が出来たのはどうしてでしょうか。
日本国内においては、テクノロジーの進歩によって様々なイノベーションが生まれ新たな時代を迎えようとしています。
一方で、少子高齢化、所得格差の拡大、将来に希望が持てない人々の増加が社会問題となっています。
そして荒川区に目を向けると、事業者の減少、再開発事業、住宅の建て替え、転入人口の増加により、大きな変化を迎えています。
これらの問題に対して、将来の荒川区を支える次世代が夢を持てる将来像を示し、すべての荒川区民が目標に向けた取り組みを進めて、荒川区の発展と福祉の向上を目指していくために、有識者と会議を重ねて新たな基本構想が策定されました。
リンク
・荒川区基本計画(平成29年度から平成38年度まで)-荒川区HP-
ちなみに・・
<荒川区の都市計画の基本理念>
荒川区の基本理念は以下の3つです。
・すべての区民の尊厳と生きがいの尊重
・区民の主体的なまちづくりへの参画
・区民が誇れる郷土の実現
荒川区の都市計画では、2026年度までに荒川区が目指す将来像についての方向性が示されています。
3つの基本理念に基づいて、基本計画や実施計画、各種事業計画を策定し、目標の実現へと向かっている途中です。
荒川区では、行財政改革も着実に推進しています。
区政経営プランは「あらかわ区経営戦略プラン」と名付けられており、区政運営の改革・改善に向けての取り組みが盛り込まれています。
あらかわ区政経営戦略プランの概要と、具体的な戦略をみていきましょう。
【言葉の意味】行財政とは・・
国や地方公共団体の行政と財政をまとめた総称。
<これまでに行われた荒川区の行財政改革>
荒川区では、昭和58年度(1983年度)に「あらかわ区行財政体質改善基本計画」を作成し、これに基づいて事務・事業の見直し、外部委託の推進などが導入され、着実に行財政改革を推進してきました。
平成17年(2005年)3月に策定された「あらかわ刷新プラン」では、区政の信頼回復とともに、行財政改革、区民参画の推進など区民サービスのレベルアップなどが行われています。
そして、平成21年(2009年)3月には、これまでの行財政改革の理念を継承し「あらかわ区政経営戦略プラン」が策定され、長い年月をかけて荒川区の改善・改革が進んでいる途中といえるでしょう。
<あらかわ区政経営戦略プランの計画期間>
戦略プランにおいては平成21年度(2009年)から3年ごとに計画期間が定められています。
令和2年度(2020年度)以降は、2021年から2023年、2024年から2026年に区切られており、その時代の需要にあった目標が計画されていくでしょう。
<あらかわ区政経営戦略プランの方向性と内容>
あらかわ区政経営戦略プランは、協働戦略・業務戦略・財務戦略・人事戦略の4つの戦略に分けて、区政運営の改善と改革が推進しています。
1.協働戦略
区民などによる協働のまちづくりを基本とし、地域の人材育成や区政への参画を推進し、地域力を向上していくことが目的です。
取り組みの一例として、大学、事業者などと連携をしながら地域の活性化、区内の防災・防犯力推進が行われています。
2.業務戦略
事務事業の再編、整理などの推進を基本とし、常に事業の制度の見直しを図りながら、最少の経費で最大の効果を生み出すための業務改善をしていくことが目的です。
一例として、システム全体の最適化などの情報化推進、施設の管理運営の効率化などに取り組んでいます。
3.財務戦略
財政基盤の強化を基本とし、厳しい財政状況に対応するための基盤強化や、中長期にわたって計画的な収支のバランスをとりながら、健全な財政の推進を計ることが目的です。
取り組みの一例としては、施設利用料、保育料の適正化、幼児教育・保育の無償化に向けた対応などがあります。
4.人事戦略
創造的人事行政への転換を基本とし、人材育成の成果を活かしながら、さらなるスキルアップを図り、区民の期待に応えられる区政の実現が目的です。
取り組みの一例としては、人材発掘プログラムの実施、OJTなどによる新規採用職員などの育成支援、高齢職員・障害者雇用の促進などがあります。
荒川区では、今後も数多くの行政課題に的確に応えていくために、これまで以上に柔軟かつ効率的で実効性のある施策等を展開し、さらなる行財政改革に努めていくと示しています。
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荒川区の人口は23区内のなかでは比較的少ないものの、特定の年代や外国人の割合が増加していることをご存じですか?
ここでは、荒川区の人口総数と、どのような人々が暮らしているのかを紹介していきます。
<荒川区の人口・世帯>
2020年5月現在の荒川区の人口は約21.7万人、総世帯数は約11.7万世帯です。
荒川区内においても少子高齢化が進んでおり、区では「荒川区人口ビジョン」が策定され、荒川区が将来に持続できる社会を築いていくことが目的とされています。
2020年4月現在の住民基本台帳による世帯と人口データによると、荒川区は23区内でも20番目の人口総数となり、他の区と比べると比較的少ない人口です。
<荒川区にはどんな人々が暮らしているのか>
0歳~14歳(年少人口)、15歳~64歳(生産年齢人口)、65歳以上(老年人口)の3つの区分に分けた時、荒川区では生産年齢人口の増加が顕著といえます。
平成11年度では、7,904人であったのが平成27年度(2015年)には13,662人と、約1.7倍増加していることがわかっています。
荒川区の人口は、日本全体の傾向と同様に少子高齢化社会の進行が進んでおり、2045年までには10人に3人が高齢者になるといわれており、今後は早急な対策が必要です。
<荒川区は外国籍の人が多い?>
荒川区は23区内でも比較的外国人が多いエリアであり、2020年5月のデータでは、約1.8万人が暮らしており、荒川区民の約8.6%が外国人であることを示しています。
外国人の増加率は、1971年(昭和46年)には6,235人でしたが、2015年には16,188人まで増加、約2.6倍となったデータが残されており、これ以降の年も増え続けていました。
東京都内の人口は増加中で、さらにグローバル化が進むことにより、荒川区の外国人もさらに増加していくことでしょう。
(※ただ当然ながら直近の数字では、コロナの影響で外国人の人口・世帯数は減少傾向にあります。)
荒川区の都市計画にまつわるさまざまな取り組みは、2026年頃まで続く予定です。
その時勢にあった構想が練られており、今この時も新しい時代にあった改革が推進されています。
荒川区の伝統や歴史を継承しながら、多様化する人と思想を受け入れ、これまで以上に多くの人が暮らしやすい荒川区が形成されていくでしょう。
そのためには、荒川区に住むすべての人の協力が必要であり、積極的に区政に参画していくことが重要といえます。