日本の伝統の灯りといえば提灯。
そんな伝統的な歴史を今に伝えるお店が台東区の根岸3丁目にあります。
今回その五十嵐提灯店についてご紹介していきます。
◆提灯の歴史
まずは、提灯の歴史から。
提灯は中国から伝わり、室町時代から使われ始めたと言われています。
電気が通っていない当時は、提灯は闇夜を照らす灯かりとして大変重宝されていました。
安土桃山時代に入ると、祭礼や戦場でも使われ始め、爆発的に需要が伸びていきました。
最初はただ竹籠に紙を貼っただけの提灯でしたが、ニーズに合わせて軽くて折り畳む事ができる、利便性の高い形状に変わっていきました。
江戸時代の中期にはロウソクの大量生産が可能になり、庶民でも安く手に入るようになりました。この頃から提灯の種類が増え始め、生活の中に提灯が溶け込んでいきました。
提灯の需要は文明開化と共に減っていきましたが、日本の文化の象徴として、その技術を今日まで守り続ける職人達がいます。
その代表的なお店こそが、東京の有限会社五十嵐提灯店なのです。
◆五十嵐提灯店とは
五十嵐提灯店は慶応3年創業の伝統を受け継ぐ、提灯作りの職人のお店です。
JR鶯谷駅を南口出口から徒歩で5分弱歩いた場所にあり、近所に郵便局があります。
東京メトロ日比谷線の入谷駅からは徒歩4分程で到着できます。
駐車場はありませんが、近くにコインパーキングがあるので、車で立ち寄る方もいます。
五十嵐提灯店は、東京都台東区根岸3丁目2-13-101という都市部の中に、素朴な和風の店構えをしております。
2016年にリニューアルされたお店は綺麗で、入りにくさは全くなく、店内での応対はもちろん、電話であっても親切に相談に乗ってくれます。
五十嵐提灯店は祭提灯や、盆提灯、装飾提灯、手書き提灯、大提灯等を、少量であっても大量発注であっても注文する事ができ、各種提灯のオーダーメイドも請け負っています。
提灯を作るまでの工程は、どれも匠の業が欠かせません。
型にヒゴを巻く技術、糊を打って和紙をのせる匙加減、刷毛でいせ込む繊細さ、糊が乾燥して型を抜いてからも、上下の輪っぱを取り付ける手捌き、ヒゴに沿って折り畳む正確さと集中力が求められ、そこにはどんな業火にも耐え得る誇りが詰まっているのです。
そのような熟練の職人は年々減少しており、今では大半の提灯が海外で製造されているのが現状です。
そのような業界事情の中で、生粋の職人達が在籍する五十嵐提灯店の提灯製作技術の高さは、地元では非常に有名です。
その証拠に、雷門の大提灯がシンボルで海外からの観光客も大勢訪れる、628年創建の都内最古の寺院「浅草寺」。
幾多の災厄をことごとく消し去る厄除け大師として古来より有名な「川崎大師」。
縁日の毎年7月6~8日には毎年40万人の人出があり、入谷鬼子母神を中心に120件の朝顔屋と100件の露店が並ぶ「入谷朝顔市」等、名だたる寺社や祭りの提灯をいくつも手掛けているのです。
それは提灯の伝統技術のみならず、江戸文化の風景を残したり、時に霊験あらたかな場所で神聖な物として使われたりと、昔の日本の面影を今に伝える大切な役割を担っているのです。
今の東京は夜空の星をかき消すくらい明るい街に成長しましたが、五十嵐提灯店の提灯は今も尚、日本人の心を照らし続けています。
日曜日と祝日が定休日で、10時から18時まで営業していますので、一級品の提灯をお求めの際は是非、五十嵐提灯店にお立ち寄り下さい。
【お店情報】
店名:五十嵐提灯店
住所:台東区根岸3-2-13
アクセス:JR鶯谷駅南口改札から徒歩5分・東京メトロ日比谷線入谷駅4番出口から徒歩4分
TEL: 03-3872-3981