皆さんは「恐れ入谷の鬼子母神」って言葉聞いたことありますか?
これは”つけたし言葉”の一つです。
つけたし言葉とは、似たような言葉を並べて繋いでいったり、関係のある言葉を繋いでいったりする言葉遊びのことです。
「地口(じぐち)」とも言われており、掛詞が入った、今でいうダジャレのような言葉です。
つけたし言葉は、映画「男はつらいよ」で寅さんがよく使っていたことでも有名です。
◆恐れ入谷の鬼子母神とは?
「恐れ入る」(あまりの出来事に驚いたり、恐縮すること)に、台東区の地名である「入谷」を掛け合わせ、そこに入谷の真源寺で祀られている「鬼子母神」を付け足してできた言葉です。
鬼子母神は、インド仏教の中での女神の一人とされており、サンスクリット語(古代インドの言語)で「ハーリティー(Hariti)」と発音します。
鬼子母神には500人の子供がおり、我が子を育てるために人間の子供をさらって食べてしまう悪神でした。
多くの人間は子供たちをさらわれることを恐れており、困った人々はお釈迦様に救いを求めました。
お釈迦様は鬼子母神の子供を隠し、子を失う悲しみを理解させ、子供を鬼子母神の元に返しました。
これ以降、鬼子母神は改心し、全ての子供たちとお釈迦様の教え、またお釈迦様の教えを信じる全ての人たちを守ることを誓いました。
その後は鬼ではなく、子供と安産の守り神になったと言われています。
◆恐れ入谷の鬼子母神の例文
①「会社の後輩がゴルフを始めたんだけど、はじめてのコースでいきなり100を切ったんだよ。彼のセンスは恐れ入谷の鬼子母神だよ。」
②「彼はまだ20代なのに、昭和のテレビや音楽をよく知ってるんだよ。彼の知識はまさに恐れ入谷の鬼子母神だな。」
③「彼女はこの間のカラオケの採点で100点を出したんだよ。彼女の歌唱力はまさに恐れ入谷の鬼子母神!」
④「ボーリングで最高280点を取ったことあるの?それは恐れ入谷の鬼子母神だね。」
⑤「君の飲みっぷりは大したもんだね。恐れ入谷の鬼子母神!」
恐れ入谷の鬼子母神は、このように「恐れ入った」という表現をシャレで使う言葉です。
◆入谷鬼子母神はどんな所?
最後に題材となっている「入谷鬼子母神」についてご紹介。
1659年(万治2年)に光長寺20世・日融が開いた法華宗本門流の寺院です。
下谷七福神の一つであり、江戸三大鬼子母神の一つでもあります。
【下谷七福神】
1.寿老人:元三島神社(もとみしまじんじゃ)
2.福禄寿:入谷鬼子母神/真源寺(いりやきしもじん)
3.大黒天:英信寺(えいしんじ)
4.毘沙門天:法昌寺(ほうしょうじ)
5.弁財天:弁天院(べんてんいん)
6.恵比寿:飛不動尊正宝院(とびふどうそんしょうほういん)
7.布袋尊:寿永寺(じゅえいじ)
【江戸三大鬼子母神】
1.台東区下谷:入谷鬼子母神真源寺
2.豊島区雑司ヶ谷:法明寺境外堂鬼子母神堂
3.市川市中山:中山法華経寺(江戸時代は杉並区梅里の本所本佛寺)
ここで看板の文字にご注目ください。
よく見ると「鬼」という漢字にはツノがありません。
鬼子母神は上記の通り、子どもを食べてしまう悪神から改心し、子育ての善神になったという由来から、このような文字を使っています。
こういった所からも日本の粋な文化を感じますよね。
また、入谷鬼子母神を中心として、毎年七夕の前後である7月6日~8日の3日間に「入谷朝顔市」が開催されます。
目の前の言問通りに約120軒もの朝顔業者と100軒ほどの露店が並び、多くの人で賑わいます。
このエリアは下町で、歴史のあるお寺や神社がたくさんあります。
都会の中でも昔ながらの景色が楽しめますので、お休みの日に散歩でも楽しんでみてはいかがでしょうか?
【入谷鬼子母神の概要】
名称:入谷鬼子母神(真源寺)/いりやきしもじん(しんげんじ)
所在地:東京都台東区下谷1-12-16
アクセス:東京メトロ日比谷線「入谷」駅2番出口から徒歩1分
JR山手線「鶯谷」駅南口改札から徒歩5分
創建年:1659年(万治2年)
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