鶯谷といえば、上野駅周辺のように名所などもなく、観光客などは少ないエリアと感じる方もいるかもしれませんが、じつは由緒正しいお寺なども多く存在しています。
そこで、今回は鶯谷に比較的近いエリアにあるお寺をご紹介します。
◆寛永寺
天台宗の別格大本山のお寺で、建立されたのは寛永2(1625)年で、2025年には創建400周年を迎える歴史あるお寺です。
建立されたきっかけは、徳川幕府の安泰、万民の平安の祈願ということですが、薬師如来も延暦寺根本中堂の本尊に見立てられ、伝教大師最澄自ら彫ったとの言い伝えがされています。
その後、第四代将軍徳川家綱公の霊廟が造営されたことで、将軍家の菩提寺も兼ねるようになったようです。
さらに、東叡山主を皇室から迎えたことにより、江戸時代には日本で随一の大寺院となったといわれています。
幕末の上野戦争で、敷地の大部分は上野公園になったり、関東大震災や太平洋戦争による被災などもあったようですが、新たに霊園が造営されて一般の檀家も受け入れています。
【お寺情報】
寺院名:寛永寺
所在:東京都台東区上野桜木1-14-11
電話番号:03-3821-4440
最寄駅:上野/日暮里/鶯谷
◆西蔵院
開山は1400年代前後ではないかと考えられているほど歴史の深いお寺で、真言宗智山派の寺院です。
江戸期から「根岸の大松」と親しまれ、「江戸名所図会」にも描かれるなど、鶯谷のシンボルとされています。
また、著名な作家の小説にも登場していることも特徴です。
例えば、池波正太郎(文集文庫)の鬼平犯科帳15では、一場面に西蔵院が登場します。
菅野昭正編(岩波文庫)の九鬼周造随筆集では、文人哲学者である九鬼周造が根岸に住居を構えていたことから、根岸の町並みの様子が記されています。
【お寺情報】
寺院名:西蔵院
所在:東京都台東区根岸3-12-38
アクセス:JR鶯谷駅北口下車5分
◆元三島神社
祭神は日本神話で山と海を司る大山祇命(おおやまづみのみこと)で、総本社は愛媛県今治市の大三島にある大山祇神社です。
元三島神社が創建されたのは鎌倉時代後期の弘安の時代で、何度かの移転を経たのち、近隣にあった熊野神社と合祀されて現在に至ります。
境内鳥居の脇には河津桜が植えられているので、春の開花の風景は見事です。また、階段下の境内には、狛犬・手水舎・神楽殿、他にも正岡子規の句碑があります。
コンパクトな社殿でありながら、拝殿・幣殿・本殿を有する立派な神明造となっています。
【お寺情報】
寺院名:元三島神社
所在:東京都台東区根岸1-7-11
電話番号:03-3873-4976
アクセス:JR山手線・京浜東北線鴬谷駅徒歩1分